[II-OR28-05] 高肺血流性心疾患と気道病変の合併例の検討
キーワード:気道病変, 肺血流増加型心疾患, 染色体異常
【背景】先天性心疾患の小児例での気道病変の合併はよく知られているが、高肺血流性心疾患での詳細な報告は少なく、その関連については不明な点も多い。【目的】高肺血流性心疾患における、肺血流増加と気道病変の関連について検討すること。【対象・方法】2014~2018年の5年間に当科で気管支鏡検査により気道病変を診断した先天性心疾患の45例中、肺血流増加型心疾患の24例。small shuntの症例を除き、血行動態的に有意な肺血流増加と判断した18例を後方視的に検討。【結果】基礎心疾患は心室中隔欠損症7例、心房中隔欠損症6例、大動脈縮窄複合・大動脈離断3例、動脈管開存1例、BTシャント術後1例。染色体異常を11例(61%)で合併。21トリソミー9例、18トリソミー1例、22q11.2欠失症候群1例。気道疾患の内訳は、気管気管支軟化症12例(B群)、喉頭軟化症5例(L群)、先天性気管狭窄1例で、診断時日齢13~159(中央値26、新生児例12例)。気管支鏡の施行理由は、心疾患単独で説明困難な努力呼吸(出現時期が早い、あるいは著しい努力呼吸)8例、SpO2低下を伴う努力呼吸4例、SpO2低下2例、dying spell 2例、ALTE 1例、挿管困難1例。B群で心内修復術を施行した8例中6例で術後に気管支鏡を施行。4例で軟化症の所見が消失し、陽圧換気を要さなくなった。いずれも診断後2ヶ月以内に手術を施行していた。内2例は術前に気管切開を検討していた。2例は気管切開・high PEEP療法を開始後、それぞれ8ヶ月・1年2ヶ月を経過してASD閉鎖術を施行。術後も軟化症所見に変化はなく、呼吸器離脱ができなかった。【考察】高肺血流性心疾患と気道病変の合併例では、高率に染色体異常を有する。高肺血流のみで説明がつかない呼吸障害を認める場合、積極的に気道病変の評価を行い、適応があれば早期に手術を施行することで、気道軟化症が改善して気管切開を回避できる可能性がある。