[II-P38-01] 心房中隔欠損症術後患者における右室機能の検討-外科手術とカテーテル閉鎖術との比較-
Keywords:心房中隔欠損症, 術後, 右室機能
【緒言】心房中隔欠損症(ASD)に対する閉鎖術として外科手術(ICR)やカテーテル閉鎖術(ASO)が行われるが、これら術後の長期的な右室機能についての報告は少ない。【目的】ICRあるいはASOが施行されたASD術後患者における右室機能について比較検討する。【対象・方法】対象は、術後1年以上経過したASD患者のうちICR群:15例(男6例、女9例、年齢中央値13.3歳、術後年数中央値7.3年)とASO群:10例(男:3例、女:7例、年齢中央値11.7歳、術後年数中央値4.4年)。エコー装置はGE社製S6で、右室機能評価として心尖部四腔断面像より三尖弁収縮期移動距離(TAPSE)、右室断面積変化率(RVFAC)、組織ドプラ法による右室自由壁側三尖弁輪における拡張早期速度(e’)と収縮期速度(s波)を測定し、右室長軸方向のstrain(global longitudinal strain:GLS)はGE社製EchoPac PCを用いてオフラインで解析した。これら指標について両群間で比較検討した。【結果】両群間で、年齢、体格、心拍数、術前心臓カテーテル検査による肺体血流比と平均肺動脈圧に有意差はなかった。また、左室拡張末期径(% of normal)、左室駆出率、僧房弁口血流速度のE/A、心尖部四腔断面像における右室径や三尖弁輪径にも有意差はなかった。右室機能評価では、RVFACに有意差はなかったが(ICR群:43.8±4.3% vs ASO群:46.1±5.6%)、TAPSE、e’、s波、GLSは、ICR群がASO群と比較して有意に低値であった(TAPSE:14.8±5.6mm vs 22.5±1.7mm、e’:8.0±2.1cm/s vs 12.8±1.9cm/s、s波:8.2±1.5cm/s vs 12.3±1.7cm/s、GLS:-21.1±1.5% vs -23.8±1.2%、すべてp<0.01 )。【結語】ICR後のASD患者では、ASO後と比較し右室長軸方向の壁運動が有意に低下している可能性が示唆された。