[II-P38-03] 感染性心内膜炎再発に対し、長期抗生剤投与が奏功したファロー四徴症肺動脈弁置換術後の一例
Keywords:感染性心内膜炎再発, ファロー四徴症, 保存的加療
【背景】感染性心内膜炎(IE)の再発率は2-6%とされており、特に人工弁IEが再燃した場合は外科手術の適応と考えられている。【症例】15歳女児。ファロー四徴症に対し1歳時に心内修復術を、14歳時に肺動脈弁置換術(PVR)(CEP Magna Ease 25mm)を施行された。PVR 1年後にメチシリン耐性表皮ブドウ球菌(Staphylococcus capitis)による菌血症を来たし、IEと診断しバンコマイシン(→薬剤熱のためダプトマイシン(DAP)に変更) + アミカシン(AMK)で治療。抗生剤は血液培養陰転化から4週間継続し、炎症反応の収束化を確認したのち退院した。しかし2か月後にIE再燃のため再入院。FDG-PETで肺動脈弁に集積が認められたが、経胸壁エコーでは疣腫を認めず、肺動脈弁逆流はごく軽度で, 最高血流速度 3.1 m/sとIE前と比較して狭窄の進行もみられなかった。入院当日右S10に肺塞栓を来したが、限局的であったため経過観察した。肺動脈弁再置換術も検討したが、再入院2か月後に高校受験を控えていることや将来も弁置換を繰り返す可能性を考慮し、長期抗生剤投与で治癒を目指す方針とした。DAP + AMK + リファンピシン(RFP)による加療を6週間継続し血液培養陰性と炎症反応収束を確認したのち、薬剤感受性結果に従いST合剤 +ミノマイシン(MINO) + RFP内服を継続したまま退院し、内服下に予定通り志望校を受験した。ST合剤は退院後1か月、MINOとRFPは2か月経過した時点で中止したが、退院から1年経過した現時点でも再発は見られていない。【結語】再発性人工弁IEであっても弁機能が保たれている場合には、通常の6週間を大幅に超える期間の抗生剤投与によって手術介入なしに治癒できる症例が存在する。