[II-P38-05] ファロー四徴術後患者の右室流出路再建適応と肝機能障害の関係
キーワード:ファロー四徴症, 肝機能障害, 右室流出路再建
【背景】ファロー四徴術後(TOFpo)患者において、右室流出路再建(reR)の適応になるような強い右心負荷状態で、肝機能障害が生じている場合がある。【目的】TOFpo患者のreR適応となるような右心負荷と肝機能障害が関係あるか、また、reRの適応を肝機能指標で予測できるか検討すること。【方法】対象はTOF術後で2012年~2018年にカテーテル検査を施行された3歳以上の221人。reR適応は、RVEDVI≧170ml/m2(又は150ml ml/m2)、RVEF<40%(又は45%)、RV/LV圧比≧0.80(又は0.70)の6基準とした。まず、日常検査で得られる各肝機能指標により6基準を見出すROC曲線を描くことができるか検討。次に有意差のあった適応基準に対する肝機能指標のcut-off値を求めた。【結果】RVEDVIでは、≧170ml/m2を予測する有意なROC曲線が得られた。肝機能指標はGGT、T-bil、ALT、Plt 。ROC面積の一番大きいGGT(0.840)でcut off値、陰性予測値、偽陰性率、偽陽性率を求めると、それぞれGGT40IU/L大、98%、18%、22%。≧150ml/m2でも同じ4因子で有意なROC曲線を描くことができたが、面積はいずれも小さくなった。一番ROC面積の大きいGGT(0.781)を用いると、cut off値は30IU/L以上。陰性予測値96%、偽陰性率20%、偽陽性率27%。RVEFでは、<40%に対してPltを除いた3因子で有意な小さいROC面積を描くことができた。GGT(同0.684)を用いたcut off値はGGT55、陰性予測値90%、疑陽性率16%であったが、偽陰性率52%と上昇した。<45%に対しては2因子のみで小さなROC面積を得られた。RV/LV圧比上昇に関しては肝機能指標有意なROC面積を得ることはできなかった。【まとめ】TOFpo患者でreRの適応となるような右室容積の増大、右室駆出率の低下は肝機能障害と関係があった。肝機能障害の中でもGGT上昇は右室容積の増大を予測するのに有効な因子となる可能性がある。しかし、右室駆出率の低下、右室圧の上昇の予測は肝機能因子では適さないと考えた方が良い。