[II-P38-06] ファロー四徴症術後の消化管出血を契機に肝外門脈閉塞症と診断された一例
Keywords:肝外門脈閉塞症, ファロー四徴症, 消化管出血
【背景】肝外門脈閉塞症は、肝門部を含めた肝外の門脈の閉塞をきたし門脈圧亢進を示す疾患であり、そこから胃食道静脈瘤や胃炎、脾腫、汎血球減少、肝障害といった症状を引き起こす。今回、我々はファロー四徴症根治術後に消化管出血を契機に肝外門脈閉塞症と診断された症例を経験したので報告する。【症例】在胎34週4日に帝王切開術で出生し、ファロー四徴症、大動脈肺動脈窓と診断された男児。日齢41に当院へ新生児搬送となり、生後2か月で右BTシャント手術を施行された。術後に血胸の合併をきたしたが、自然吸収されている。その後1歳2か月時に心内修復術を施行された。術後2日より胃管からの出血を認め、6日目には下血を認め、出血性ショックのため緊急輸血が施行されICU管理となった。吐血後の上部消化管内視鏡検査で胃食道静脈瘤を認めた。腹部造影CT検査から門脈圧亢進症が疑われ、腹部血管造影検査を施行され、肝外門脈閉塞症と診断された。ICU入室後も吐下血を繰り返し、凝固検査では第5、7、10因子の軽度低下を認めた。赤血球、FFP輸血による補充に加え、第7因子の補充も出血ごとに要した。現在も感染やストレスを契機に上下部消化管出血を繰り返しており、外科的介入が可能かについて検討中である。本児は当院に転院時からPTの軽度延長と軽度の肝障害があったことから、原発性の可能性が高いと考えられる。【結語】肝外門脈閉塞症は先天性心疾患に合併する例も散見されており、消化管出血を契機に発見される例がほとんどであるが、病態に合わない肝障害や凝固異常が認められる場合には、門脈血行異常症の可能性も考え精査を行う必要がある。