[II-P39-01] フォンタン術後遠隔期における右左短絡の検討
キーワード:Fontan, fenestration, right to left shunt
【背景】近年、PLEやFALDなど多くのフォンタン術後遠隔期合併症が問題となってきており、その発症予防が重要な課題である。高いCVPの関与が予想され、CVPを低く保つことが予防につながる可能性があり、fenestrationなどの右左短絡の存在がその要因の1つになり得る。【目的】フォンタン術後遠隔期における右左短絡の状態とそれが血行動態に与える影響を調べること。【対象と方法】遠隔期の心カテを施行した18歳以上のフォンタン術後患者50例を対象とし、心カテ時におけるfenestrationの有無により、有り(F群)、 無し(N群)に分け、 pulmonary AV fistula(PAVF) およびV-V shuntの有無、CVP、 CI、最終受診時のSpO2との関係を調べた。【結果】全50例のうちF群14例、N群36例であった。N群のうち4例はfenestrationの自然閉鎖後であった。PAVFを3例(F群0例、N群3例)、有意なV-V shuntを11例(F群3例、N群8例)に認めた。CVP(mmHg)はF群13(8-15) vs N群12(8-16)、CI(L/BSA)はF群3.3(2.0-5.1) vs N群3.0(1.9-5.2)でいずれも有意差を認めなかった。SpO2(%)はF群89(82-93) vs N群93(87-96)で有意にF群において低かった(p<0.01)。全症例におけるSpO2とCI、SpO2とCVPとの相関を調べたところ、統計学的に有意ではないがどちらも負の相関の傾向を認めた。またPLEを3例認め、いずれもN群であった。【考察】fenestrationの有無によりCVP、CIに差がなかったのは、fenestrationがなくても遠隔期にはCVPを下げ、CIを保つべくV-V shuntやAVFができる症例が少なからず存在するためと考える。PLEの予防やCIやCVPを適度に保つ観点からは、低酸素が許容される範囲で右左短絡がある方が有利であると推察される。しかし、術前に遠隔期の血行動態を予測することは困難であり、遠隔期にfenestrationを経カテーテル的に作製・拡大・閉鎖できるように、フォンタン手術時になんらかの工夫をしておくのが望ましいと考えた。