第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ポスターセッション39(II-P39)
術後遠隔期・合併症・発達 6

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:森 善樹(北里大学メディカルセンター 小児科)

[II-P39-03] 門脈体循環シャントがフォンタン循環を悪化させている可能性

永田 弾1, 長友 雄作1, 村岡 衛1, 福岡 将治1, 平田 悠一郎1, 大賀 正一1, 石北 綾子2, 坂本 一郎2 (1.九州大学 小児科, 2.九州大学 循環器内科)

キーワード:門脈体循環シャント, フォンタン, 高心拍出

【背景】門脈体循環シャント(PSVS)は希な疾患であるが、肝肺症候群や肺高血圧症を引き起こすことが知られている。先天性心疾患を伴うことも少なくなく、多脾症候群への合併も報告されているが、PSVSがフォンタン循環へ与える影響についてはまだ明らかになっていない。【対象と方法】当院でフォローアップしている18歳以上のフォンタン患者のうちPSVSと診断された症例の臨床経過について診療録をもとに後方視的にその特徴を検討した。【結果】192名のフォンタン患者のうち、6例においてPSVSの診断となり、診断時(カテーテル検査時)年齢は中央値22歳(範囲18-33)で、5名(83%)が女性であった。診断は多岐にわたっており、全患者で心外導管法が行われており、Fontan手術から18.5(1-28) 年が経過していた。2例 (33%)は左側相同を合併していた。NIHAはクラス3が4例でクラス2総が2例であった。バイタルサインは安定しているが、酸素飽和度は83.5(70-90) %と低下がみられた。胆汁酸は73.8(27.7-88) μmol/l、血清アンモニア値は96(72-184) μg/dlと高値を示し、BNPは96(72-184) pg/mlと高い傾向にあった。カテーテル検査では、中心静脈圧 21(9-25) mmHg、心係数 5.5(4.2-14.3) L/min/BSA、体血管抵抗 7.04(1.74-12.8) unit、肺血管抵抗 0.56(0.1-2.3) unitと高中心静脈圧、高心拍出の血行動態であった。シャント血管の形態は5例(83%)で肝外型であり、門脈圧はシャント血管バルーン閉塞下で20.5(16-25)mmHgと高値であった。1例はシャント血管に対してコイル塞栓を行ったが、経過中2例が死亡となった。【まとめ】PSVSを合併しているFontan患者では高中心静脈圧、高心拍出を示し、failing Fontanの血行動態を示す可能性が示唆された。門脈体循環シャントはFontan循環に悪影響を与えている可能性がある。