第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ポスターセッション41(II-P41)
術後遠隔期・合併症・発達 8

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:塩野 淳子(茨城県立こども病院 小児循環器科)

[II-P41-01] 先天性心臓病術後の心房頻拍は心室細動の原因となりうる -1単室例の経験から-

牛ノ濱 大也1,3, 鍋嶋 泰典1, 兒玉 祥彦1, 倉岡 彩子1, 石川 友一1, 佐川 浩一1, 石川 司朗1, 小田 晋一郎2, 中野 俊秀2, 角 秀秋2, 住友 直方4 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.福岡市立こども病院 心臓血管外科, 3.大濠こどもクリニック, 4.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)

キーワード:先天性心臓病, 心房頻拍, 心室細動

先天性心疾患術後遠隔期において、突然死は不整脈によるものが最も多い。自動体外式除細動器(AED)で救命され、心房頻拍(AT)が心室細動(VF)の原因になったと考えられる一例を経験したので報告する。【症例】12歳、男児。診断、房室中隔欠損、左室低形成、肺動脈狭窄、総肺静脈還流異常(1b)、無脾症候群。2ヵ月時に右BT短絡術、7ヵ月時に総肺静脈還流異常修復、1才6ヵ月時に房室弁置換、BT短絡術結紮、4才9ヵ月時に両側両方向性Glenn術、肺動脈絞扼術が行われている。Glenn術1ヵ月後にインフルエンザに罹患し、心機能低下を認め(心室駆出率15%、BNP1572pg/ml)、9歳からβ遮断薬が開始され心機能が徐々に改善しTCPC術可能と判断されていた。最近学校で頻脈が繰り返し確認されていた。母親が帰宅時に痙攣している児を発見し、救急隊によりAEDでVFが確認され除細動された。その後ATが継続しており搬送病院において同期下カルディオバージョンが行われ洞調律に復している。神経学的後遺症は認めなかった。心臓電気生理学的検査では心房側壁からの連続刺激(240拍/分)で、2:1~3:1の房室ブロックを伴う280拍/分のATが誘発された。心房側壁に分裂した拡張期心房電位を認め、activation mapで同部位をチャネルとするマクロリエントリーと診断した。30Wで同部位への通電を行ないATは停止し、その後ATは誘発されなくなった。現在TCPC術、皮下植え込み型除細動器植え込みの待機中である。【考察】ATは、運動や興奮時に房室伝導比が上昇し心室頻拍、VFが誘発される、もしくは血行動態が破綻することによりVFが誘発され突然死の原因になると考えられる。複雑な先天性心疾患術後の心室機能低下例では上室頻拍であっても致死的な不整脈発生に注意が必要と考えられる。