第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

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ポスターセッション42(II-P42)
画像診断 2

Fri. Jun 28, 2019 5:30 PM - 6:30 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:麻生 健太郎(聖マリアンナ医科大学 小児科)

[II-P42-05] 心臓MRI検査によるEisenmenger症候群患者の心筋性状評価 遅延造影とT1 mappingの比較

中野 茉莉恵1, 桜井 研三1, 水野 将徳1, 小徳 暁生2, 麻生 健太郎1 (1.聖マリアンナ医科大学 小児科, 2.聖マリアンナ医科大学 放射線科)

Keywords:心臓MRI, 遅延造影, T1 mapping

心筋の性状評価に心臓MRIの遅延造影(LE)が有用であることは広く認知されているが、Eisenmenger症候群患者(ES)におけるLE陽性所見は運動耐容能や生存率との関連性はないとする報告もあり、線維化以外の要素が陽性所見に関与している可能性が示唆されている。T1 mapping(T1M)はT1値をピクセルごとに定量評価してマップ表示する方法で組織性状をより客観的かつ正確に評価できる可能性があり注目を集めている。今回我々はES患者2例の心筋性状をLEとT1Mで評価する機会を得たので報告する。【症例1】35歳男性、修正大血管転位、心室中隔欠損症、大動脈離断、動脈管開存症、肺高血圧症。肺血管拡張薬3剤を内服しているが喀血のため入退院を繰り返している。心臓MRI検査の解剖学的右室のLEは陰性であったが、T1Mでは右室心筋でびまん性のT1値上昇とECVの上昇を認め右室心筋での広範囲な線維化が示唆された。【症例2】36歳女性、左側相同心、単心房、単心室、共通房室弁、肺動脈閉鎖、総肺静脈還流異常、主要体肺側副動脈、肺高血圧症。肺血拡張薬3剤を内服中。心臓MRI検査のLEは心室心筋で陽性となる部位が散在していた。T1Mでは全周性に中等度~高度のT1値上昇を認め心室心筋の全体に線維化が生じている可能性が示唆された。【考案】ES患者のLE陽性所見は、線維化以外に細胞間隙の開大や赤血球増多、冠動脈拡張による冠動脈灌流の低下が関与して生じると推察されている。遅延造影の評価は存在する正常な心臓心筋組織との比較によってなされるため心室心筋が全体的に障害された場合は過小評価する可能性がある。長期にわたり低酸素や高血圧に晒されびまん性に障害を受けたESの心筋評価にはT1Mが優れている可能性が高い。