[II-P43-01] ECMO管理に到達するまでの劇症型心筋炎の臨床経過
キーワード:ECMO, 患者搬送, 集約化
【【背景】 劇症型心筋炎は非特異的症状で発症することが多く小児救急の場で注意を要し、また早期のextracorporeal membrane oxygenation(ECMO)導入が予後改善に有用であることは知られている。しかし心筋炎を疑われた症例がECMO管理に到達するまでの臨床経過や、それを支える医療体制に着目した報告は少ない。当院では2016年2月以降、小児救急科による重症患者搬送および小児集中治療科による集中治療管理体制が整った。【方法】2016年2月から2019年1月までの3年間にECMO管理を行った劇症型心筋炎7例の臨床経過について、特にECMO導入までの経過を中心に診療録を用いて後方視的に検討した。また、予後不良群(死亡または神経学的後遺症)と予後良好群に分けて、その差異についても考察を行った。【結果】予後不良群/良好群:3例(死亡2例、神経学的後遺症1例)/4例。月齢(中央値):14か月/67か月。発症から当院転院前の医療機関受診回数:2回/1.5回。全例が心筋炎を疑われ総合病院救命救急センターから搬送された。転院依頼から当院到着までの時間:119分/99分。当院到着からECMO導入までの時間:81分/58分。ECPR:2例/0例。搬送に際して全7症例中5症例で当院搬送チームが携わり、3例で当院救急車による迎え搬送、2例でヘリ搬送を行った。搬送チームは搬送前から継続的に前医、当院小児集中治療室と連携を取り、カテコラミン投与開始等を前医に依頼するなどの介入を行った。【考察】予後不良群は低月齢で、転院依頼から当院到着までの時間、到着後ECMO導入までの時間いずれも長い傾向にあった。ECPRを要した症例はいずれも予後不良群であった。劇症型心筋炎の経過は激烈であり、救命には一刻を争う事態に対応可能な医療体制の構築が求められる。初診医による疾患の認識と、その症例を安全かつ速やかにECMO管理可能な施設に搬送するためのチーム、システム確立が必要である。