[II-P43-02] 巨大心臓横紋筋腫に合併した難治性PSVTに対してEverolimusが奏功した新生児例
キーワード:cardiac rhabdomyoma, Everolimus, PSVT
【緒言】心臓横紋筋腫は胎児期から乳児期を好発年齢とし、多くは無症状で自然退縮するが、腫瘍による流出路・流入路狭窄や弁逆流、致死的不整脈の合併例も見られる。近年、心臓横紋筋腫に対するmTOR阻害剤Everolimusの有効性を示唆する報告が散見される。今回、巨大心臓横紋筋種に対してEverolimusが奏功した新生児の自験例について、文献的考察を踏まえて報告する。【症例】在胎40週に胎児心拍低下により緊急帝王切開で出生し、生後よりチアノーゼ、心雑音を認め、エコーで巨大心臓腫瘍を確認した。三尖弁周囲に突出した腫瘍により右室流入障害を呈し、順行性肺血流は制限され、心房間は右左短絡を認めた。経時的な腫瘍増大による右室流入障害の進行を認めたが、外科的切除は困難と判断し、日齢16からEverolimusの内服を開始した。治療開始後から腫瘍は著明に退縮し、循環動態の改善を得たため、内服は1ヶ月間で中止し、退院に至った。その後、内服中止から1ヶ月後にPSVTが出現し、再入院となった。各種抗不整脈薬に対して頻拍発作はコントロール不良であった。前回退院時に比して腫瘍の再増大を認めていたため、Everolimusの内服を再開したところ、腫瘍縮小に伴い、PSVTは消失した。以降、月齢8ヶ月まで内服を継続した。現在、内服終了後の腫瘍増大およびPSVTの再燃は認めず、経過良好である。【考察・結語】心臓横紋筋腫合併の頻拍発作では、腫瘍組織が副伝導路となっていると考えられ、本症例の難治性PSVTにおいて、Everolimus投与による三尖弁輪周囲に及ぶ腫瘍の縮小が有効であった。心臓横紋筋腫に合併の難治性不整脈においてmTOR阻害剤は治療選択の一つとなり得る。