第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

心筋・心膜疾患

ポスターセッション44(II-P44)
心筋・心膜疾患 4

Fri. Jun 28, 2019 5:30 PM - 6:30 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:藤原 優子(町田市民病院 小児科)

[II-P44-01] Duchenne型筋ジストロフィー患者における心筋障害 - 正確な心機能評価及び心不全治療による生命予後改善に向けて -

鈴木 一孝, 太田 隆徳, 佐々木 智章 (名古屋市立大学大学院医学研究科 新生児・小児医学分野)

Keywords:Duchenne型筋ジストロフィー, 心筋障害, 心不全治療

【背景】Duchenne型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy : DMD)患者では適切な呼吸管理が導入され、現在は心筋障害による心不全が主要な死因と考えられている。更なる生命予後の改善を図るため、正確な心機能評価、適切な心不全治療の導入が望まれる。【目的】当院におけるDMD患者の心機能評価及び心不全治療薬導入状況を明らかにし、今後の管理及び治療について考案すること。【方法】当院フォロー中のDMD患者30名を対象とし、患者背景、各種検査結果(血液検査結果、心エコー、cardiac MRI)、心不全治療薬導入状況を診療録より後方視的に検討する。【結果】年齢 中央値15歳(1-24歳)。死亡1例、非侵襲的陽圧換気療法導入14例、車椅子使用22例。検査実施内訳:血液検査(BNP) 実施24例(BNP<18.4pg/ml 17例、BNP>18.4pg/ml 7例)、心エコー LVEF中央値 52.7%(28-83%)、cMRI 16例(遅延造影陽性 9例、陰性 7例)、cMRI初回検査年齢:中央値 13歳(11-20歳)。心不全治療薬導入 19例(ACEI 18例、β-blocker 18例)、無投薬 11例。【考察】当院ではDMD患者に対しcMRI検査を中心に積極的な心不全治療薬導入を進めてきた。DMD患者には下記の特性がある。(1)心機能がかなり低下するまで心不全症状は出現せず、BNP上昇も来さない、(2)原疾患による運動能低下に伴い心不全症状が顕在化し難い、(3)心病変は心外膜後壁側の低収縮と繊維化から始まる、(4)適切な心不全治療により生命予後を改善させた報告がある。正確な心機能評価を行い、適切なタイミングで心不全治療薬を導入することが重要である。今後、cMRIに加えスペックルトラッキング法を用いた心エコー検査等を組み合わせることで、より早期に心病変の微細な変化を見極め生命予後の更なる改善を図りたい。