第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

心筋・心膜疾患

ポスターセッション44(II-P44)
心筋・心膜疾患 4

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:藤原 優子(町田市民病院 小児科)

[II-P44-04] 先天性僧帽弁閉鎖不全のフォロー中にムコ多糖症2型の診断に至った一例

本田 啓 (熊本市民病院 小児循環器内科(現 熊本赤十字病院 小児科))

キーワード:ムコ多糖症, 先天性僧帽弁逆流症, 診断契機

【はじめに】心臓弁膜症や心筋症の鑑別の中にムコ多糖症があげられる。酵素補充療法による早期介入が予後改善を期待できる昨今、早期診断は非常に重要である。今回、心臓弁膜症フォロー中にムコ多糖症の診断に至った症例を経験したため報告する。【症例】5歳 男児。在胎39週1日、3062gで出生。周産期異常の指摘無し。以後の成長、発達の異常は指摘されなかった。7ヶ月検診で心雑音を指摘され当院紹介受診。先天性僧帽弁逆流症の診断。中等度の房室弁逆流を認め、左室左房の拡大を認めた。僧帽弁乳頭筋形成および腱索断裂等の明らかな異常は認めず、前尖の肥厚、逸脱、後尖のtetheringを認めた。以後、ACEI調整を含めて内科管理を継続。この頃より徐々に歩行の不安定さ、言語発達の遅滞を認めていた。また、2歳頃より大動脈弁逆流を認めるようになった。3歳時検診で精神発達遅滞を指摘。3歳8ヶ月時の発達検査で認知適応および言語社会面の明らかな発達遅滞を認めた。特異顔貌、肋骨の形態異常も認めるためムコ多糖症を疑い、濾紙血でのスクリーニングを行いα-L-イズロン酸-2-スルファターゼ活性の低下を確認。また、尿中ウロン酸排泄の増加を認めた。ムコ多糖症2型の診断で、酵素補充療法を開始している。僧帽弁逆流および大動脈弁逆流の進行を認めており、今後、手術介入を検討している。【まとめ】ムコ多糖症の診断契機には特異顔貌や発達遅滞、耳鼻科や眼科、整形外科領域など様々な報告を認める。心臓弁膜症もその一つで有り、早期診断、早期介入に寄与する可能性があるため、日々の診療で念頭においておく必要がある。