[II-P46-04] 修正大血管転位症における三尖弁置換術の長期成績
Keywords:修正大血管転位症, 三尖弁置換術, 長期成績
【背景】修正大血管転移症(ccTGA)は, 未治療又は機能的根治術後の遠隔期に三尖弁逆流が悪化することがあり, 体循環右室機能が低下した症例に関しては三尖弁置換術(TVR)を施行しても予後不良であると報告されている. しかし手術適応の明確な基準は確立されておらず, 本邦での周術期や術後遠隔成績の報告例は少ない. 当院におけるccTGA-TVRの妥当性を後方視的に検討した。【目的】ccTGAに対してTVRを施行した症例を検討し短期成績, 長期成績を考察した.【方法】2000年1月から2019年1月までの期間、体循環房室弁である三尖弁に対してTVRを施行した連続6症例を対象とした. 周術期合併症, 術後遠隔期の生存率, 術前・最終フォローのNYHA分類と解剖学的右室機能(RVEF)を検討した.【結果】平均年齢は30.9±10.4歳, 平均follow up期間は9.7±4.7年であった. 1例はPA-bandingによる左室トレーニング後, 1例はconventional Rastelli後, 1例はVSD閉鎖術後であった. 人工弁はSJM弁が2例, On-X弁が4例であった. 周術期死亡はなく, 遮断時間は111.3±23.0分, 平均出血量は482.6±400.0ml, 周術期輸血は2例, その他明らかな合併症はみられなかった. 5年生存率と10年生存率は100%であった. またTVR後の再手術はなかった. 術前のNYHA分類は1が3例, 2が3例であったが, 術後のNYHA分類は全例1であった. RVEFに関しては術前45.9±6.7%, 術後45.5±2.7%と有意差を認めなかった. RVEF45%以下の症例に関しては術後のRVEF軽度改善を認めた. 【考察】RVEF45%以下と右室機能が低下した症例に関しても短期成績, 長期成績はともに良好で術後のRVEFも全例改善しており, 症状の進行が軽度であればTVRを行うことで心機能が維持出来る可能性がある. 【結語】ccTGAに対する三尖弁置換術の短期成績, 長期成績は満足できる結果であった.症例数が少なく, 手術適応決定のためにはさらなる症例の蓄積, 遠隔期follow upを行う必要がある.