[II-P46-05] 術後主要体肺側副動脈に対する経カテーテル的血管拡張術の効果
Keywords:MAPCA, 遠隔期, 血管拡張術
(背景)主要体肺側副動脈(MAPCA)に対し当院では乳児期からの積極的な胸骨正中切開による統合化 (unifocalization:UF)を主とした肺動脈形成術および術後の経カテーテル的血管拡張術により,肺循環の確立,Rastelli到達および予後の改善を促している.(目的) 本治療方針の現状および術後経カテーテル的血管拡張術の効果を検証する.(方法)2000年以降に当院で治療介入したMAPCA合併70例から単心室例,2歳をこえての紹介例を除いた52例(PAVSD46例,PA/AVSD2例,TOF4例;染色体異常23例)を対象に,Rastelli到達率,カテーテル治療等について後方視的に検討した.(結果)Rastelli到達は44例(85%)で,残り8例中5例は死亡,3例は待機もしくは肺区域が少ないためpalliative Rastelliの状態であった.UF施行は47例で,生後7.0±11か月,体重6.4±2.kgで2.4±1.2本のMAPCAが統合化された.Rastelli到達例のRVP/LVP比は0.70±0.21(Rastelli後初回)→0.62±0.19(最終)(p=0.05),平均肺動脈圧は24.0±0.21→21.1±7.2(最終)(p=0.01)であった.UF後7.8±5.3年の追跡期間に血管拡張術が32症例100病変に191回(バルーン151回,ステント留置14回,ステント再拡張26回)施行された.血管拡張施行群では,Rastelli到達例のRVP/LVP比0.75±0.21→0.63±0.19(p=0.01),平均肺動脈圧25.2±6.5→22.2±7.8(p=0.01)であった(非施行群:RVP/LVP比0.62±0.17→0.60±0.17(p=0.76),平均肺動脈圧19.6±5.1→18.7±4.7(p=0.46)).最終RVP/LVP>0.8の9例のうちconduit交換対象症例を除いた4例中3例ではUF時にdual supplyに期待したMAPCAの結紮が行われ,結果として血管領域が一部消失していた. (考察/結語) MAPCA症例での経カテーテル的血管拡張術は,肺血管床の維持・改善に一定の効果があった.dual supplyは,カテーテルアプローチが難しい肺内の比較的末梢でみられることも多く,術後の治療介入を含め,統合化するかを含めた総合的な治療計画が重要と思われる.