第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

ポスターセッション

染色体異常・遺伝子異常

ポスターセッション47(II-P47)
染色体異常・遺伝子異常 3

Fri. Jun 28, 2019 5:30 PM - 6:30 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:前田 潤(東京都立小児総合医療センター 循環器科)

[II-P47-02] 心外異常を伴わない大動脈弁上狭窄と末梢性肺動脈狭窄の兄弟の二症例

福永 啓文1, 蓮把 朋之1, 浜田 優季1, 森内 浩幸1, 佐川 浩一2 (1.長崎大学病院 小児科, 2.福岡市立こども病院 循環器科)

Keywords:supravalvular aortic stenosis, peripheral pulmonary artery stenosis, congenital heart desease

【背景・目的】Williams症候群(WS)は大動脈弁上狭窄(SVAS)、末梢性肺動脈狭窄(PPS)に妖精様の特異顔貌と精神発達遅滞を合併する症候群で,染色体7q11.22領域の微細欠損が原因とされている.一方WSと同様の心血管病変を有するが特異顔貌や精神発達遅滞を認めず,FISH法で染色体の異常を認めない症例の報告がある.このようにWSに特徴的な心血管病変のみを有するが7q11.23領域の欠失を認めない兄弟例を経験し, またその複数の家族にも同様の病変を認めたので報告する.【症例】症例1は特異顔貌のない発育発達良好な5歳男児.出生後より心雑音を指摘され,心エコーでSVASとPPSと診断した.生後3ヶ月時に心臓カテーテル検査を行い,SVAS圧差20mmHg, PPS圧差70mmHgと左冠動脈起始部狭窄を認めた.左室造影後にST低下を伴う徐脈となり心肺蘇生を要したためSVASとPPSの解除術と左冠動脈起始部形成術を行った.現在は重度のPPSが残存する.症例2は生後3ヶ月の男児.症例1の弟で同様に特異顔貌はなく,定頚を認める.生後より心雑音を聴取し,心エコーでSVASとPPSと診断した.エコーでの推定圧較差はSVASが30mmHgでPPSが60mmHgであり,無治療で経過観察している.家族歴では母親と母の兄にPPS,母のもう一人の兄にSVASとPPSを認める.いずれの家族にも特異顔貌や精神発達遅滞は認めない.症例1と2には染色体検査を行いFISH法で7q11.23領域の欠失は認めなかった.【まとめ】WSに特徴的な顔貌や精神発達遅滞がなく,心血管病変のみを認める兄弟と濃厚な家族歴を有する一家系を経験した。過去には同様の症例でFISH法では異常を認めず, エラスチンの発現を担うELN遺伝子異常を示す症例報告があり、本症例もELN遺伝子異常がある可能性が考えられる.