第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

染色体異常・遺伝子異常

ポスターセッション47(II-P47)
染色体異常・遺伝子異常 3

Fri. Jun 28, 2019 5:30 PM - 6:30 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:前田 潤(東京都立小児総合医療センター 循環器科)

[II-P47-04] 13トリソミーに合併した拡張型心筋症

田邉 さおり1, 藤井 隆2, 粟野 裕貴2 (1.日本海総合病院 小児科, 2.山形大学医学部 小児科)

Keywords:13トリソミー, 心筋症, 心不全

【背景】これまで予後不良とされてきた染色体異常症に対して、近年様々な介入が行われ、長期生存例が散見される.在宅療養中に心不全症状で発症した13トリソミー合併心筋症を経験したので報告する.
【症例】1歳8か月、男児.主訴:努力呼吸、SpO2低下.家族歴:父母、姉 健康.既往歴:13トリソミー、左上大静脈遺残、脳梁低形成、視神経低形成、難聴、唇顎口蓋裂、多指症、胸部リンパ管腫、甲状腺機能低下症、てんかん、嚥下協調運動障害、胃食道逆流症、噴門形成・胃瘻造設術後、消化管アレルギー.出生時に大動脈峡部狭窄、動脈管開存を認めたが、自然軽快した.現病歴:入院4日前から喘鳴、努力呼吸、SpO2 80-90%と低下し自宅で酸素投与しても上昇せず、精査加療のため入院した.発熱はなく、顔面蒼白、口唇チアノーゼ、体幹に著明な網状チアノーゼあり.肋骨弓下に呼吸性陥没あり、両側下肺野で湿性ラ音を聴取した.血液検査でNT-proBNP 22388pg/mLと上昇、胸部CTで胸水と肺水腫を認めた.心エコー図で、僧帽弁逆流、左室拡大、左室壁運動低下を認め、拡張型心筋症と診断した.過去の心エコー図を見直し、出生時から左室心尖部に限局した厚い肉柱の網状構造を認め、緻密化障害を疑った.利尿薬とACE阻害薬の内服を開始したところ、尿量増加、体重減少し、多呼吸・頻脈は軽快、酸素需要も改善した.入院後4日の心エコー図で僧帽弁逆流は消失し、胸水は減少した.入院後5日にβ遮断薬少量投与開始した.BUN/Cre上昇を伴う発熱を認め、脱水熱と考え、利尿薬の調整を要した.入院後18日に軽快退院し、外来で経過観察を継続している.
【考察】過去に13トリソミーと心筋緻密化障害や拡張型心筋症合併例の報告が散見される.本症例は、軽度の左室心筋緻密化障害から拡張型心筋症、心不全に進行したと考えられた.幸いにも利尿薬、ACE阻害薬、β遮断薬などの慢性心不全治療への反応は比較的良好であった.