[II-P48-01] 血管輪の胎児診断における Spatio Temporal Image Correlation(STIC)による三次元画像の有用性
キーワード:血管輪, STIC, 胎児診断
【背景】超音波検査の進歩に伴い血管輪の胎児診断症例は増えているものの、血管輪の成因を正確に診断するためには経験を要する。血管輪の成因により出生後の呼吸症状のリスクは異なるため、胎児期に正確に診断することが望ましい。【目的】Spatio Temporal Image Correlation(STIC)を用いて三次元構築を行った画像から血管輪の成因を含めた胎児診断が可能か検討する。【対象】2017年7月-2019年1月に当院で血管輪と診断しSTIC画像を撮影した 7人(scan時の週数:28.6±9.4週)。【方法】得られたSTIC画像から解析装置を用いて三次元構築を行い、血管輪の診断、大動脈弓・動脈管弓の形態、頸部分枝、気管について評価する。超音波装置はGE Healthcare社製VolusonE10を、プローブはRM6Cを、解析にはViewPal 6を用いた。【結果】血管輪の成因の内訳は、右側大動脈弓/左動脈管6例(うち1例は完全大血管転位)、重複大動脈弓1例であった。重複大動脈弓と完全大血管転位では、出生後に呼吸症状を認め介入を要した。血管輪の診断と大動脈・動脈管の形態については7/7例(100%)で診断できた。頸部分枝の同定は、1st branchが可能であった症例は5/7例(71.4%)であったが、全ての分枝の起始部を確認できた症例は3/7例(42.9%)。気管を描出できた症例は4/7例(57.1%)。【考察】全ての頸部分枝の描出は困難だが大動脈弓方向を決定する1st branchの検出率が高い点は有用であった。二次元画像では右側大動脈弓/左動脈管で1st branchが後方に走行していく症例で重複大動脈弓との鑑別が難しかったが、三次元画像を併用することで診断可能と考えられた。【結語】STICを用いた三次元画像での血管輪の診断は十分に可能であり、二次元画像と併用することで血管輪の詳細な診断を補完できる。