[II-P48-02] 3DCTによる血管輪に合併した気管狭窄の定量評価
キーワード:vascular ring, tracheal stenosis, 3DCT
【目的】出生後診断される血管輪のほとんどは、気道狭窄症状から発見診断されるため、診断確定後速やかに手術が行われてきた。近年増加している胎児診断症例では、出生後無症状で経過する症例を多く、治療方針の再検討が必要になっている。血管輪の重症度は気管狭窄の程度によって決まるが、気管狭窄の重症度評価は確立されていない。新生児血管輪の気管狭窄の定量評価をCTによる計測によって作成することを目的に、血管輪の出生後のX線CT所見と臨床症状、血管輪の病型との関係を検討した。【方法】当院で診断された54例の完全血管輪(出生後診断7例、胎児診断47例)のうち、出生後CT検査を行った45例を対象とした。DAAは16例、 RAAは29例であった。診療録から症状の有無、発症時期、手術の有無と時期などの情報を収集した。CT画像から血管輪による狭窄部および血管輪より約10mm上方の狭窄のない気管内径を測定し、その比(気管内径比)を算出した。【結果】1) 発症群は0.55±0.20 (0.40-0.69)に対し非発症群は0.97±0.06(0.95-1.0)で、発症群が有意に狭窄は高度であった(p<0.001)。0.77をcut off pointとすると感度100%,特異度74%であった。2) DAAは0.52±0.21(0.29-0.74)、RAAは0.91±0.17(0.83-0.98)であり、DAAで有意に狭窄は高度であった(p<0.01)。 3) 経過観察した症例の中で2回CTを行った症例では、初回のCTで軽度の狭窄を認めた2例では、8か月から1年後の経過観察中に明らかに気道症状の悪化し、CT上の気管内径比は狭小化していた。初回に狭窄のまったくなかった症例では1年後の2回目のCTでも狭窄を認めなかった。【結語】CTによる気管内径比は、気管軟化症合併例を除くと重症度と相関していた。