[II-P50-01] 重症肺動脈弁狭窄症に対する乳児期早期PBPVの有効性
Keywords:肺動脈弁狭窄症, 肺動脈弁形成術, 乳児期
【背景】重症肺動脈弁狭窄症に対する経皮的肺動脈弁形成術(以下PBPV)は、新生児期早期であるほど重篤な合併症のリスクが増加し、またバルン径:肺動脈弁輪径比(Balloon : Annulus Ratio; 以下BAR)1.4以上でPRの合併症率が増加することが知られている。そのため、動脈管依存性の血行動態ではない無症状の肺動脈弁狭窄に対する介入が待たれることがある。【目的】Critical pulmonary valve stenosisを含めた重症肺動脈弁狭窄症に対する乳児期早期PBPVの有効性を検討する。【対象】2011-2018年の間に当院で重症肺動脈弁狭窄症と診断しPBPVを行った乳児9名。【結果】男児6例、女児3例。PBPVを行った平均日齢は23.1(±26)日、平均体重は4.0(±1.2)kg。平均肺動脈弁輪径5.8(±0.6)mm、平均肺動脈弁輪径zスコア= -2.0(±0.6)SD。平均三尖弁輪径zスコア=0.13(±0.57)。動脈管依存性の血行動態を示したcritical PSは5例 。バルンカテーテルはTyshak mini 5-7mmを使用し、全例にPBPVを行った(平均BAR1.18±0.13)。術後、RVP/LVPは1.1(±0.25)から0.66(±0.15)に有意に低下した(p=0.0014)。病変部をマイクロカテーテルが通過しない1例に対してはRF wireによる穿通を行った。BAR1.2-1.3でPBPVを行った5症例は追加治療なく経過した。全例ともPRは現在軽度で、重篤な合併症は認めなかった。【考察】結果から、severe PSにおけるPBPVは乳児期早期でも比較的安全に行えると考えられた。また、細いワイヤ―しか病変部を通過しない場合にはRFワイヤーを使用することでPBPVの成功率を上げるものと考えられた。無症状のsevere PSでも無治療で待機することより、経過とともに右室流出路狭窄が進行しカテーテル操作が難しくなることが予想される。早期に低プロファイルのカテーテルを用いて治療することが肝要であると考えられた。【結語】severe PSにおける早期血行動態改善のための乳児期早期PBPVは有効かつ安全である。