[II-P50-03] 総肺静脈還流異常を合併した内臓錯位症候群の肺静脈狭窄に対するステント留置術
キーワード:heterotaxy syndrome, 総肺静脈還流異常症, ステント
【背景】内臓錯位症候群、総肺静脈還流異常に肺静脈狭窄を合併した症例は早期に外科介入を必要とし、その予後は不良である。【目的】内臓錯位症候群、総肺静脈還流異常に肺静脈狭窄を合併した症例の肺静脈狭窄部にステントを留置する戦略の有用性とその問題点を明らかにする。【方法】2013年から2018年の間に、当センターでのステント留置術施行例を後方視的に検討する。体表エコーと透視で、術前、術中に狭窄部の形態評価、留置ステントの決定および位置決め行った。【結果】症例は7例、全例胎児診断され右側相同であった。在胎週数37-39週、出生体重2340-3210g、全例仮死なし。上心臓型3例、下心臓型4例であった。全例日齢0でステントを留置した。1例で日齢7に追加留置を要した。アクセスは、上心臓型は全例内頸静脈、下心臓型は臍静脈が3例、内頸静脈が1例であった。ステント数は1,4例、2,2例、3,1例で、ステント径は、上心臓型は4.0-6.0 mm、下心臓型は3.0-5.0 mm。ステント再拡張は、上心臓型では0回2例、3回1例で、再拡張を要さなかった2例は6.0 mmのステント使用例であった。下心臓型では1回、3回、4回2例あった。2例で突出したステントのために上大静脈の狭窄と閉塞を来し、1例は下大静脈内にステントの突出を認めた。1例は門脈に突出させないために静脈管の全長を覆えなかった。肺静脈還流異常に対する外科的介入日は、23-92(中央値50)日であった。死亡は外科的介入後の2例で、BTシャント術を同時施行した症例であった。1例はフォンタン手術に到達し、2例はフォンタン手術待機中、2例はグレン手術待機中である。初回退院は5/7例で可能であった。1例は術後入院中で退院可能である。【まとめ】径6.0mm以上のステント留置が望ましい。位置決め通りに留置できない症例がある。本戦略の短中期成績は過去の外科成績と比べ良好である。