[II-P50-04] Amplatzer Vascular Plug-IIを用いたPDA閉鎖術後に肺動脈にデバイスが脱落し、経カテーテル的に回収した乳児の一例
キーワード:PDA, Amplatzer Duct Occluder, Amplatzer Vascular Plug
【はじめに】Amplatzer Duct Occluderの導入により、PDAに対するカテーテル治療の適応が拡大してきたが、短絡量の多い乳児症例に対する治療は今なお困難な場合がある。【症例】7か月女児、体重7.1kg。生直後より心雑音を認め、心エコーでPDA type E, 大動脈二尖弁と診断した。経過観察を経てカテーテル治療目的で入院した。【カテーテル検査】平均肺動脈圧29mmHg, Qp/Qs 3.4, Rp 1.3, 大動脈造影では、PDA type E, PA側5.1mm 中央部10.0mm, Ao側12.4mm, 長さ14.8mmであった。【デバイス選択と留置】ADO-Iを選択するなら10/8が適当であるがスカート径が16mmでPDA内に引き込むのは困難で、PDA内で展開すると過伸展となるため、AVP-IIの方が適していると考えた。(院内の倫理委員会の承認済) 12mm以上では左肺動脈狭窄・大動脈縮窄のリスクが高いと判断し、10mmを選択し、大動脈側からのアプローチで留置した。ケーブルを押し付けても肺動脈へ移動しないこと、エコーで左肺動脈狭窄がないことを確認し、リリースした。PDA内の2枚のディスクは完全に復元し、頭測が前のめりになるような形態となったが、安定した留置と判断し終了した。【脱落・回収】翌日のエコーで左肺動脈に脱落していることが判明し、径カテーテル的回収術を行った。10mmスネアでピンの部分を把持し、8Fロングシースへの回収を試みたが、スリップし、15mmスネアをディスク間に滑り込ませ把持したところ、ロングシースへの回収が可能となった。AVP-IIのsize up、ADO-Iへの変更も考慮したが、いずれも脱落等のリスクがあると判断した。回収のみで終了し、後日手術を施行した。【考察】乳児のPDAは伸展性が強く、最狭部の2倍径のデバイスでもすり抜けてしまうため、本症例のようなhigh flowのtype E症例にAVP-IIを使用する場合には、PDA中央部をしっかりステントできるサイズを選択すべきと考えた。