[II-P51-02] 小児肺動脈狭窄に対する薬剤溶出性バルーンの使用経験
Keywords:薬剤溶出性バルーン, 肺動脈狭窄症, 経皮的カテーテル治療
【背景】バルーン拡張抵抗性の小児肺動脈狭窄症に対してはステント留置術が行われるが、遠隔期の再狭窄が問題となる。近年、成人領域では薬剤溶出バルーン(Drug Eluting Balloon:DEB)が上梓され有効性が報告されている。我々は、繰り返す肺動脈狭窄症に対して成人用DEBを用いた経皮的肺動脈拡張術を行ったので、その効果と限界について報告する。【症例】総動脈幹症(A3)の8歳女児。日齢15に肺動脈形成術とcentral shunt造設術を行ったが術後に左肺動脈狭窄を繰り返し、合計9回のバルーン拡張術、1回のBare metal stent留置術、1回の薬剤溶出性ステント(Drug Eluting Stent:DES)留置術を行った。DES留置1年後にRastelli術+VSD patch closure with fenestrationを施行し、術後6ヶ月(DES留置後1年半後)で、学内倫理委員会の承認のもと、DEBを用いたカテーテル治療を施行した。【結果】左肺動脈はDESの遠位部で著明な再狭窄を認めた(IVUS血管径1.9 mm×1.8 mm、断面積 2.7 m2)ため成人冠動脈用DEB(3.0*30 mm)をダブルバルーンにて拡張を行い狭窄は改善したがその6ヶ月後のカテーテル検査では同部位に再狭窄を認めた(血管径2.0 mm×2.8 mm、断面積 4.3 m2)。そこで成人末梢動脈用DEB(6.0*40mm)の使用を企図したが、血管の屈曲が強くバルーンを目的部位まで到達させることが出来なかった。いずれのカテーテル治療においても明らかな有害事象は認めなかった。【考察】DES留置後にも繰り返した末梢性肺動脈狭窄症に対して2種のDEBを使用した。明らかな有害事象は認めなかったものの、カテーテルのサイズや硬さが適切ではなく、効果は不十分だった。小児例への適応拡大に際しては様々なサイズのDEBの開発が必要である。