[II-P52-02] 日齢30以内発症の上室性頻拍症7例の検討
Keywords:不整脈, 上室性頻拍症, 新生児
【背景】新生児期の上室性頻拍症(SVT)に対する、治療方針は確立されていない。【目的】新生児期発症のSVTの臨床像や予後を明らかにする。【方法】2009年から2018年に日齢30までにSVTと診断した7例について後方視的に検討した。【結果】男1例、女6例。発症日齢は中央値5日(0-30日)で、早産児2例、低出生体重児3例、染色体異常1例であった。発見契機は4例が原疾患入院中、1例が感染症で入院中、2例が健診や産科で偶発的であった。正常心5例、ファロー四徴症1例、単心室1例であった。発症時心拍数239±15/分で、発作時間は数分以内かつ数回が3例、長時間持続を含む頻回が4例であった。頻拍時QRS直後に逆伝導P波を5例に認め、AVRTと分類したが、2例は逆伝導P波を同定できなかった。安静時心電図でデルタ波を1例認めた。治療はアイスバック等の非薬物療法が有効4例、ATP有効が3例であった。長時間持続例とATP投与後に心房粗動へ移行した例の2例にカルディオバージョンを施行した。予防薬投与は5例が単剤で、ジギタリス3例、プロプラノロール(BB)2例で、そのうち1例は効果不十分のためジギタリスからフレカイニド(Ic)に変更した。1例が2剤併用で、BBにIcの追加が有効であった。1例は原疾患のため内服できず、無投薬で経過観察を行った。内服期間は中央値1年(9日~14ヶ月)で、観察期間は中央値8年(208日~10年)で、いずれも中止後の再発は認めなかった。【考察】発見は比較的早く、頻拍誘発性心筋症による重篤な心不全を呈したものはなかった。予防薬は有効で中止後の再発例はなかったが、再発症例やWPW症候群での突然死の報告もあり生涯にわたる慎重なフォローアップが必要である。【結語】治療への反応性は比較的良好で、有害事象や後遺症は認めず、予後は良好であった。