[II-P52-06] 多源性心房頻拍に対してSotalolが著効した乳児の1例
Keywords:多源性心房頻拍, 頻拍誘発性心筋症, ソタロール
[背景]多源性心房頻拍MATは新生児・乳児期に多く、頻拍コントロールが可能であれば予後良好であるが、抗不整脈薬に対して抵抗性を示し、頻拍誘発性心筋症に至ることがある。[症例]当院受診時、日齢41の女児。在胎38週0日、胎児不整脈のため前医に母体搬送、在胎38週3日に緊急帝王切開で出生した。出生後、MATと診断した。心臓超音波検査で基礎心疾患は認めなかった。体重増加、心機能は良好であり、日齢8に退院となった。日齢11、再診時に体重増加良好であったが、心胸郭比CTR、拡張末期左室内径LVIDd(22.3mm, Z score 1.9)の拡大を認め、前医再入院となった。Atenolol、Aprindineを開始したが洞調律維持、心拍数コントロールは困難であった。心拡大、心機能低下が進行し、日齢41、哺乳不良、活気不良となたっため、当院紹介となった。来院時、HR 150-230bpmのMATが継続し、CTR 56%、LVIDd 35.1mm(Z score 8.1) 、左室駆出率(LVEF)測定困難であった。同日、AtenololをLandiololに置換、Sotalol 2mg/kgを追加し、洞調律となった。経過中、徐脈となったためLandiololは漸減中止した。Sotalolは3mg/kgまで増量し、日齢56以降、MAT再発は認めなかった。日齢77、Aprindine、Sotalolの2剤併用で退院とした。LVEF、LVIDdは基準範囲に復帰しMATによる頻拍誘発性心筋症と診断した。最大500msのQT延長を認めたがTorsade de Pointesはなかった。月齢6にAprindineを中止し、月齢7、Sotalol単剤で管理しているがMAT再発は認めていない。[結語]Sotalolはβ遮断薬、Naチャネル遮断薬に不応のMATに対して有効であり安全に使用できると考えられる。