[II-P53-04] 頻脈性不整脈に対するニフェカラント塩酸塩投与の有効性
キーワード:ニフェカラント, IKrチャネル遮断, 接合部頻拍
背景:カリウムチャネル遮断薬であるニフェカラントの有効性は成人では示されているが、小児において有効性を示すデータはほとんどない。方法:対象は2006年4月~2018年12月までに、当院でニフェカラント投与を行った頻脈性不整脈7例(うち先天性心疾患周術期6例)で後方視的に検討を行った。投与方法は添付文書に従い、0.3mg/kg/時で5分間のローディングを行い、有効と判断した場合は0.4mg/kg/時で持続投与を行った。結果:平均年齢7.4±5.8か月。平均体重4.9±1.6kg。不整脈の種類は接合部頻拍(JET)5例、リエントリー性心房頻拍(AT)1例、房室回帰性頻拍(AVRT)1例。合併した先天性心疾患はファロー四徴症2例、ファロー四徴症+完全型房室中隔欠損症1例、無脾症+単心室症1例、心室中隔欠損症1例、総肺静脈還流異常症1例。有効率は71.4%(5/7)で、有効例は全例JETであった。心拍数変化は投与前226±26/分、後154±61/分。血圧変化は投与前65±7.3mmHg、投与後78±11mmHg。QT時間(Friedricia)の変化は投与前386±26ms、投与後416±30msであった。ニフェカラント投与による副作用は全例で認めなかった。考察:青木らはニフェカラントのIKrチャネル遮断作用が接合部の自動能抑制効果をもたらすという報告をしているが、今回の我々の検討でも有効例は全例JETであり、この理論を支持するものではないかと考えられた。一般に、伝導遅延部位が関与しているリエントリー性ATや房室副伝導路には、Naチャネル遮断作用やIKr以外のKチャネル遮断作用も併せ持つ薬剤が有効であるが、IKrチャネル遮断作用のみのニフェカラントでは抑制できない可能性が示唆された。結語:ニフェカラント塩酸塩投与はJETに対しては有効であると考えられた。