第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

電気生理学・不整脈

ポスターセッション54(II-P54)
電気生理学・不整脈 6

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:岩本 眞理(済生会横浜市東部病院こどもセンター)

[II-P54-01] 植え込み型ループレコーダーによる精査を行った失神3例

相良 優佳, 川口 直樹, 宗内 淳, 渡邉 まみ江, 杉谷 雄一郎, 松岡 良平, 藤井 俊輔, 古賀 大貴, 足立 俊一, 岩屋 悠生 (九州病院 小児科)

キーワード:心肺蘇生, 心室頻拍, QT延長症候群

【緒言】植え込み型ループレコーダー(implantable loop recorder: ILR)は原因不明の意識消失・失神に対して、一時的な検査では診断できない不整脈を特定しうる。当院でILR植え込みを行った小児3例について報告する。
【症例1】心筋緻密化障害、洞徐脈(HR 50bpm)のためフォロー中の10歳男児。フットサル練習中に失神し、偶然居合わせた医師により心肺蘇生され、12分後に意識回復した。AEDはHR 20bpm台の洞徐脈であったため作動せず。QT 500ms、QTc 468ms、ホルター心電図で洞徐脈(総心拍数68,144beats、最低心拍数31bpm)、運動負荷心電図で多源性PVC連発あり。遺伝子検査でカテコラミン誘発性心室頻拍やQT延長症候群(LQT)の既知遺伝子変異は検出されず、失神の原因を特定できなかったためILR植え込みを実施。非持続性心室頻拍(7beats)を検出し、β遮断薬内服を開始。以後も無症候性上室性頻拍(170bpm)や心室頻拍を認め、慎重な経過観察を行っている。【症例2】失神既往のあるLQT2の13歳男児。心臓突然死の家族歴あり。QT 558ms、QTc 537ms、顔面冷水試験でTorsades de Pointesを認め、β遮断薬を開始。以後もめまい症状があり、ILR植え込みを実施。めまい症状時には洞性頻脈の所見のみで、治療強化は不要と判断した。
【症例3】8歳女児。複雑型熱性けいれんの既往と、父方叔父に原因不明の突然死の家族歴あり。学校から走って帰宅中に突然倒れたのを近所の人に目撃された。同様の運動中~後の意識消失を繰り返した。安静時および運動負荷心電図、ホルター心電図で異常はなく、ILR植え込みを実施。6か月後に運動後意識障害を認めたが、ILRで不整脈なし。身体症状症などの精神障害や中枢神経疾患を鑑別している。
【結語】多彩な意識消失・失神を生じる病態で、症状との関連を知る上でILRは有用であった。