第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

成人先天性心疾患

ポスターセッション55(II-P55)
成人先天性心疾患 3

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:檜垣 高史(愛媛大学大学院医学系研究科 地域小児・周産期学講座)

[II-P55-02] 沖縄県の成人先天性心疾患診療体制の課題と取り組み

中矢代 真美, 島袋 篤哉, 佐藤 誠一, 長田 信洋 (沖縄県立南部医療センター こども医療センター)

キーワード:成人先天性心疾患, 地域医療, 移行医療

心臓病の子どもを守る会が中心とした署名活動の結果小児医療を中心に据えた沖縄県立南部医療センター・こども医療センターが平成18年4月に開院以来、沖縄県内で唯一の小児循環器センターとして県内の先天性心疾患を含めたすべての小児循環器科疾患を集約している。当院はこども部門と併設した成人部門があり、循環器内科を始めとする主要な内科専門医、産婦人科もあるため、当院で成人先天性心疾患外来設立を希望する声が患者から上がり、2017年7月沖縄県議会で患者会からの成人先天性心疾患外来設立要望が採択された。沖縄県の成人先天性心疾患患者の背景には沖縄に独特な地理的、歴史的背景を反映し、症例はまだ本土に比べ若い。一方で本土復帰前、1968年に沖縄の心臓病児童に対して日本政府が法外育成医療給付要綱を制定し、本土に搬送された児童が1972年復帰前後10年間でおそらく400人以上は県外いるが術後の行方は不明である。その後も当院開院までは多くの患者が本土で手術を施行されているがこれらの患者の多くがフォロー自己中断し、フォローされていても診療情報が不十分である。沖縄県における成人先天生心疾患チームの大きな使命は現在通院中の患者の医療継続だけでなく、過去の症例を集約し正しく評価および必要な治療へ繋ぐこともある。その上で2018年6月より当院から小児循環器医2名、小児心臓外科医1名、大学からは循環器内科医1名にて内科外来で成人先天性心疾患外来を開始し、2018年6月から2019年1月まで36名新患を受け入れている。まだ症例数は少ないが、特徴としてかかりつけの主治医がなく、原疾患の診断や手術内容が不明な患者も受け入れていることである。これまでの経過、受診患者の情報および今後の課題について報告する。