[II-P56-04] ファロー四徴症術後の遺残部分肺静脈還流異常, PSR, TR, APに対しWarden変法, 右室流出路再建, TVP, CABGを施行した一治験例
Keywords:成人先天性心疾患, ファロー四徴症, 部分肺静脈還流異常
【はじめに】近年成人先天性心疾患患者は増加の一途をたどっている。今回我々はファロー四徴症(TOF)術後42年を経過した症例を経験したため報告する。【症例】45才、男性。病歴:3才時に他院にてTOF修復術施行(部分肺静脈還流異常"PAPVR"は放置)。その後近医にてfollow upされていた。34才時に前失神のエピソードあり。44才時にnon sustained VT認め、アブレーション目的に当院紹介となった。身体所見:身長175cm、体重 69 kg. CXR: CTR57.8%. ECG: SR, HR72/min. CRBBB(+). 心エコー:LVDd 44.2mm (95% of normal), EF 33%, RA & RV dilatation(+), severe PR, PSPG 38mmHg, PVD 36.6mm, mild-mod.TR, TVD 32.5mm. MRI: RVEDVI 279ml/m2, EF 32%, LVEDVI 74, EF 45%, Pulmonary regurgitant fraction 39%. LGE (late gadolinium enhancement) が右室流入部、VSDパッチ周囲、流出部内側の全周に認められた。 心カテ:LVEDVI 68, EF 58%, PG(RV-PA) 27mmHg, Rt. sup. PV to SVC, Qp/Qs 1.35, #8 75% stenosis【手術】Lt. FA & FV露出し再胸骨正中切開。心停止下にPAPVR修復(Warden変法。SVC-RA routeにはePTFE graft 14mmを使用), 右室流出路再建(3弁付きePTFE graft 24mm), TVP(edge to edge, Contour3D 30mm), CABG(SVG-#8)を行なった。術後26日目に軽快退院。経過:術後2ヶ月での心エコーでは、LVEF 50-55%, mild PR, PV flow 2.7m/s. trivial TR. 術後4ヶ月でのMRIにてRVEDVI 145ml/m2, と縮小したがRVEF 18%と悪化。LGE所見は術前と同様であった。術後6ヶ月に心房頻拍に対してアブレーションを行なった。【考察】元々の心筋障害に手術の影響が加わり、さらにTRが制御されたためRVEFが悪化した可能性がある。【結語】ファロー四徴症術後遠隔期の成人例に再心内修復術を行い周術期経過は良好であったが、さらに早期の介入が必要と考えられた。