[II-P56-06] ラステリ手術後遠隔期の上行大動脈瘤,瘤破裂,右室流出路狭窄,左冠動脈起始異常に対するベントール手術,右室流出路再建
Keywords:ベントール手術, 左冠動脈起始異常, 冠動脈再建
【目的】ラステリ手術施行後,遠隔期の上行大動脈瘤,瘤破裂,右室流出路狭窄に対し,ベントール手術,右室流出路再建を同時に施行した.本症例は左冠動脈が無冠尖から起始し,大動脈基部後方を走行しており,本症例のような左冠動脈起始異常合併例に対するベントール手術の報告はほとんどなく,若干の文献的考察を加えて供覧する.
【症例】患者は26歳男性,身長176cm,体重60kg.総動脈管症(1型)に対し,生後3ヶ月時にウマ・ブタ心膜で作成した導管を用いたラステリ手術を施行した,10歳時に1弁付きゴアテックスパッチを用いて右室流出路再建術を施行,その後再び右室流出路狭窄が進行し,上行大動脈拡大,大動脈弁閉鎖不全増悪,心機能低下も認めた.手術介入を検討中に,上行大動脈瘤が右肺動脈起始部へ破裂し,肺高血圧,心不全となった.左冠動脈は無冠尖から起始し,大動脈基部後方を走行していた.内科的に心不全治療を施行した後,準緊急で手術を施行した.
【手術】ベントール手術,右室流出路再建を施行.25ミリ機械弁付きグラフトを用いて基部置換をおこなった.左冠動脈ボタンの作成は冠動脈損傷のリスクが高く,グラフトへの吻合に際しても,屈曲するリスクが高いため,ボタンは作成せず,左冠動脈開口部に8ミリ人工血管を縫合した.これを弁付きグラフト前側頭側に縫着.右冠動脈ボタンは作成したが,十分な授動が得られなかったため,8ミリ人工血管をInterposeしてグラフトに吻合.右室流出路再建には,ゴアテックス製バルサルバ洞付き3弁グラフトを用いた.
【結果】術後の循環動態は良好で,心筋虚血は認めなかった.術後造影CTで冠動脈再建に問題なく,良好な結果であった.
【結論】左冠動脈が無冠尖から起始し,大動脈後方を走行する例でのベントール手術を経験した.このような例では,冠動脈ボタンによる再建は損傷,屈曲のリスクが高く,再建方法について十分な検討,工夫を要する.
【症例】患者は26歳男性,身長176cm,体重60kg.総動脈管症(1型)に対し,生後3ヶ月時にウマ・ブタ心膜で作成した導管を用いたラステリ手術を施行した,10歳時に1弁付きゴアテックスパッチを用いて右室流出路再建術を施行,その後再び右室流出路狭窄が進行し,上行大動脈拡大,大動脈弁閉鎖不全増悪,心機能低下も認めた.手術介入を検討中に,上行大動脈瘤が右肺動脈起始部へ破裂し,肺高血圧,心不全となった.左冠動脈は無冠尖から起始し,大動脈基部後方を走行していた.内科的に心不全治療を施行した後,準緊急で手術を施行した.
【手術】ベントール手術,右室流出路再建を施行.25ミリ機械弁付きグラフトを用いて基部置換をおこなった.左冠動脈ボタンの作成は冠動脈損傷のリスクが高く,グラフトへの吻合に際しても,屈曲するリスクが高いため,ボタンは作成せず,左冠動脈開口部に8ミリ人工血管を縫合した.これを弁付きグラフト前側頭側に縫着.右冠動脈ボタンは作成したが,十分な授動が得られなかったため,8ミリ人工血管をInterposeしてグラフトに吻合.右室流出路再建には,ゴアテックス製バルサルバ洞付き3弁グラフトを用いた.
【結果】術後の循環動態は良好で,心筋虚血は認めなかった.術後造影CTで冠動脈再建に問題なく,良好な結果であった.
【結論】左冠動脈が無冠尖から起始し,大動脈後方を走行する例でのベントール手術を経験した.このような例では,冠動脈ボタンによる再建は損傷,屈曲のリスクが高く,再建方法について十分な検討,工夫を要する.