[II-P57-01] 近年の川崎病治療下における冠動脈合併症例についての検討
キーワード:川崎病性冠動脈瘤, ステロイド, 群馬スコア
【背景】近年の川崎病治療ではリスク分類や治療の層別化が行われるようになっているが、冠動脈後遺症は依然として2~3%存在する。【目的】近年の川崎病治療において、どのような症例に合併症が発生しているのか検証すること【対象】川崎病かつ下記を満たす症例;2013年以降の発症、6病日以内の治療開始、冠動脈瘤合併、当院入院歴あり【方法】診療録を用いて後方視的に検討【結果】症例は15例で、男性80.0%、発症時年齢0.4~4.8歳(中央値3.6歳)、群馬スコア1~9点(中央値8.0点)であった。【高リスク症例】群馬スコア5点以上の症例は11例で、9例は8点以上であった。11例中初期治療をIVIG+PSLで行われた症例は7例で、このうち追加治療を要した症例は4例、冠動脈瘤形成時期はday17(中央値)、急性期の最大冠動脈サイズはZ score +7.3(中央値)であった。2例では極軽微な再燃(37.5℃前後の発熱、極軽度のCRPやD dimer上昇)の後に冠動脈病変を形成した。遠隔期に瘤の残存を認めたのは1例のみだった。一方、IVIG単独で初期治療を行った症例は4例で、全例追加治療を要し、冠動脈形成時期はday12.5(中央値)、急性期の最大冠動脈サイズはZ score +7.6(中央値)であった。4例中3例で遠隔期に瘤の残存を認めた。【低リスク症例】群馬スコア4点以下の症例は4例で、2例に追加治療(IVIG追加、ステロイド投与)を要した。追加治療を要した2例はいずれも生後6か月未満だった。4例における急性期の最大冠動脈サイズはZ score +4.5(中央値)で、1例のみ遠隔期に瘤の残存を認めた。【考察】急性期に冠動脈瘤を認めた症例の多くは群馬スコアが非常に高値であった。初期ステロイド併用療法症例では、通常より遅い時期に瘤を形成する傾向がありフェロー上注意が必要である。また、ステロイド投与下では軽微な再燃兆候を契機に冠動脈病変を形成する症例があり、再燃兆候の早期発見と治療介入について細心の注意を払う必要がある。