第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

川崎病・冠動脈・血管

ポスターセッション57(II-P57)
川崎病・冠動脈・血管 3

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:勝部 康弘(日本医科大学武蔵小杉病院 小児科)

[II-P57-02] 当院における不全型川崎病の診療の現状

松崎 聡, 佐渡 めぐ美, 上田 宗胤, 大月 純, 高山 和生, 西村 貴文, 倉田 研児, 北原 正志, 岩崎 康 (まつもと医療センター)

キーワード:不全型川崎病, ガンマグロブリン, 冠動脈後遺症

【背景】冠動脈後遺症をのこすリスクファクターとして、ガンマグロブリン治療(IVIG)不応例と不全型川崎病が挙げられる。ガンマグロブリン不応に対しては近年、3rd therapyの開発がされているが、不全型川崎病に対しては定まった治療法はない。【目的・方法】当院で2013-2018年の間に不全型川崎病と診断された患者の臨床像、治療、後遺症の有無を診療録をもとに明らかにすること。尚、当院ではステロイドは併用していない。【結果】6年間で川崎病と診断された症例は221例で、不全型川崎病は39例、全体の17.6%であった。主要症状数は、1症状が0例、2症状が3例、3症状が7例、4症状が29例であった。不全型川崎病の初診時の年齢の中央値は2歳10か月、標準偏差2歳7か月だった。各年齢毎の不全型症例数および確実例症例数( )内は、0歳: 13 (32) , 1歳:3 (39)、2歳:4 (32)、3歳:6 (20)、4歳:5 (23)、5歳:2 (15)、6歳:1 (9)、7歳:2 (6)、8歳:2 (3)、9歳:1 (1)、10歳:0 (2)であった。男女比は15:23だった。当院初診日の病日の平均値は5.1±2.6日であった。IVIGは34例に行われ、7例に追加IVIGが行われたが、3rd therapyを必要とした症例はなかった。IVIG 開始病日の平均値は6.3±3.5日であった。1か月以降も冠動脈拡大を認めた症例は1例でこの症例は5か月女児、3症状、23病日にIVIGが行われた症例であった。【結論】当院の経験から、不全型川崎病は0歳では約30%を占めること、7歳以上の年長児で多いこと、女児に多いことが示された。IVIG 施行例34例中32例が10病日までにIVIGが開始されており、これらの症例では冠動脈後遺症はなかった。不全型川崎病でも早期にIVIGを開始することで冠動脈後遺症を防げる可能性が示唆された。