[II-P57-05] 川崎病罹患時に発症したウイルス感染症の検討
キーワード:川崎病, ウイルス感染症, ウイルス分離
【背景】川崎病は、主要症状5/6以上を満たす疾患であり、しばしば検査結果によって支持される。種々の合併症をきたしうるが、一方で罹患年齢は呼吸器感染症と合致しており、混合感染も少なくないと考えられる。【目的】川崎病罹患時に合併したウイルスの役割について調べること。【方法】2014年1月から2018年12月までに当院に入院した川崎病患者さんについて診療録から後方視的に検討した。検討項目として1.ウイルス分離(主に鼻咽頭)によって得られたウイルスの種類、発症月について。2.ウイルス陽性群、陰性群での川崎病主要症状、血液検査データ、重症度スコア、追加治療の有無、冠動脈障害の有無について調べた。【結果】川崎病患者89人中、ウイルス分離を行った62例(性別:男33人、女29人;年齢:3~169か月、中央値24か月)を対象とした。24例がウイルス分離陽性、41例がウイルス分離陰性であった。検出されたウイルスでは、Rhinovirusが最も多く(10例)、Cytomegalovirus(5例)、HHV7(4例)と続いた。6月~11月(9月を除く)の夏から秋にかけて多くのウイルスが検出された。川崎病主要症状、血液検査データ(CRP、WBC、好中球、AST、ALT、ALB、Dダイマー)、小林のスコア、追加治療、冠動脈障害に関して、ウイルス陽性群、陰性群で統計学的な有意差はなかった。【まとめ】ウイルス分離陽性群、陰性群間での川崎病罹患者さんの臨床症状、アウトカムに違いはなかったが、ある一定の症例数においてウイルス合併が存在しうることを認識して治療していく必要がある。