第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

川崎病・冠動脈・血管

ポスターセッション58(II-P58)
川崎病・冠動脈・血管 4

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:中村 常之(つねファミリークリニック)

[II-P58-01] 川崎病の急性期治療後にみられた無症候性のトロポニンI上昇

野村 羊示, 水野 隼人, 長井 典子 (岡崎市民病院 小児科)

キーワード:川崎病, トロポニンI, 回復期

【背景】川崎病の急性期治療後、退院直前やフォローの初回外来で、無症候性にトロポニンIの上昇が見られることがある。【目的】川崎病治療後の回復期にトロポニンIの上昇が見られた患者について、その臨床的特徴を検討する。【方法】2016年1月~2018年12月までに当院に入院した川崎病256例について、診療録から後方視的に検討した。治療前や治療後1週間までにトロポニンIが上昇した症例は除外し、初回治療の解熱後から1週間以降にトロポニンIの上昇が見られた患者を対象とした。初発の川崎病患者のみを対象とし、再燃例は除外した。結果は中央値(範囲)で示した。【結果】回復期にトロポニンIの上昇が見られた症例は9例(男7、女2) で、全例が無症状だった。年齢は8か月(1か月~1歳4か月)だった。初回治療は全例でIVIG 2g/kgとアスピリン30 mg/kgの内服が行なわれた。追加治療はIVIGのみで、トロポニンIの上昇前に3例、上昇後に2例で行われた。解熱からトロポニンIの上昇までの期間は9 (8~21)日だった。トロポニンIの初回上昇値は55 (35~322) pg/ml、頂値は134 (35~382) pg/mlだった。追跡できた4例全例でトロポニンIの正常化を確認した。正常化までの日数は34(4~48)日だった。経過中に全例で心電図は異常なく、冠動脈のZ score 2.0以上の拡大は1例で見られ、僧帽弁閉鎖不全症や心機能が悪化した症例はなかった。【結論】川崎病の回復期に無症候性のトロポニンI上昇が見られることがあり、好発年齢は1歳前後だった。追加治療を行なった症例もあるが、トロポニンIは軽度の上昇に止まり、無治療でも1か月ほどで正常化すると考えられる。