[II-P58-04] 大腿動静脈径に対する回帰式の作成と心疾患が与える影響についての検討
キーワード:総大腿動脈, 総大腿静脈, 回帰式
【背景】小児の心内構造物や血管のサイズが体表面積(BSA)と相関していることは良く知られているが、大腿動静脈のそれについて調べた報告は少ない。【目的】大腿動静脈径の回帰式を作成し、疾患による差異を検討する。【方法】2016年4月から2018年12月に当院で心臓カテーテル検査のため入院し、穿刺血管評価のため大腿血管のエコーを行った58人、のべ75例が対象。ASDやPAPVRなど右心系に容量負荷のかかる疾患(R群、9例)、VSDやPDAなど左心系に容量負荷のかかる疾患(L群、18例)、KDや短絡疾患の修復術後など負荷が生じないと考えられる疾患(N群、21例)に分類した。血管エコーは放射線科医が行い、総大腿動脈(CFA)、総大腿静脈(CFV)の各血管について、原則として長軸断面で前後径を計測した。BSA(m2)と血管径(mm)から回帰式を算出し、比較検討を行った。【結果】全体ではCFA径=4.89×BSA0.56、CFV径=5.07×BSA0.40と導出され、相関係数はそれぞれ0.79、0.60と前者のほうがより良い相関を示した。CFAについては、R群が4.81×BSA0.47、L群が5.18×BSA0.58、N群が5.00×BSA0.66であり、L群・N群と比較しR群が小さい傾向にあった。CFVについては、R群が4.77×BSA0.33、L群が4.79×BSA0.32、N群が4.99×BSA0.37であり、N群と比較しR群・L群が小さい傾向にあったがいずれも有意差は認めなかった。【考察】右心負荷のかかる疾患ではCFA・CFVが、左心負荷のかかる疾患ではCFVが通常より細い可能性があり、血管穿刺に当たっては留意しておく必要があると考える。