[II-P58-05] 若年発症の大動脈拡大/大動脈解離症例に対する臨床的検討
Keywords:大動脈解離, Marfan症候群, ACTA2
【背景】Marfan症候群/類縁疾患(MFS)のみならず, ACTA2遺伝子変異などが若年性大動脈瘤の原因疾患として報告されている. 【目的】若年発症した大動脈拡大(AE)の臨床的特徴, 問題点を知る. 【対象/方法】AE16例をMFS群(N=13)と非MFS群(N=3)に分類. (1)現年齢/性別, (2)診断契機, (3)薬剤, (4)エコーでのValsalva洞径(SVd), 上行大動脈径(aAd)の経時的変化[絶対値/Z-score(ZS)], (5)手術歴, (6)他の心血管合併症, (7)遺伝子検査(非MFS群)につき後方視的に調査. 【結果】MFS群: (1)med.23.8 y (12.9-31.0)/ M:F=6:7, (2)臨床診断, (3) 1例除きロサルタン(LS)±β遮断薬(BB), (4) SVd≧45mm:3例, LS開始後SVd拡大速度: med 0.7mm/y(0.1-5.9), ZS変化速度: med +0.21/y (-0.09~+1.93), (5, 6) 高度MRで房室弁形成→Bentall 1例, David 1例. 非MFS群(以下, 症例順に記載): (1)6,13,16y/ M,M,F. (2)大動脈弁狭窄カテ治療時, 腹痛/背部痛 [Stanford B型大動脈解離(AD)+PDA], TIA/脳梗塞でCT, (3) 全例LS±BB, (4)SVd/aAd拡大速度:1.3/4.0, 2.4/4.5, 0.6/0.7mm/y, (5)人工血管置換1例, (6)脳血管狭小化2例, (7)FBN1新規variant1例, ACTA2変異1例. 【考察】MFSでは思春期以降のSV拡大, 乳児MFSではMVP/MRが問題であり, 年代による症状の差異を認識する必要がある. LSのSV拡大抑制効果は確信できないが, OP例でいずれも怠薬傾向であった点は重要である. 非MFS2例では左室駆出血流が当たる上行大動脈が拡張、そのうち1例ではPDA周辺よりADが発生しており, 遺伝子異常の存在と合わせて大動脈の組織異常に血流の影響が加わりADに至った可能性が示唆された。また, 脳血管など全身血管の評価も重要であると考えられた.