第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

川崎病・冠動脈・血管

ポスターセッション59(II-P59)
川崎病・冠動脈・血管 5

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:小林 富男(群馬県立小児医療センター 循環器科)

[II-P59-02] 川崎病治療における初期IVIG治療の開始時期に関する検討

中島 康貴 (福岡赤十字病院 小児科)

キーワード:川崎病, IVIG, 初期治療

(背景)大量免疫グロブリン療法は川崎病の標準治療であり、7病日以前に治療開始をすることが望ましいとされている。4病日以前の早期に治療を行った場合には追加治療を必要とする症例が多いという報告もあり、早期治療の有効性については確立されていない。
(方法)2015年1月から2018年12月の4年間に当院で治療した川崎病235例のうち、IVIGによる加療を行われ、群馬スコアが5点以上であった患児を対象とした。対象症例を3病日以前に治療を開始した群(A群)と4病日以降に治療を開始した群(B群)の2群に分け、治療反応性について比較を行った。
(結果)A群は33例、B群は57例であった。月齢はA:B=33.8±22.5:38.5±33.0 (p=0.48)群馬スコアはA:B=6.2±1.5:6.1±1.3 (p=0.80)と両群間に有意差は認めなかった。治療開始病日はA:B=2.7±0.5:4.3±0.6 (p<0.001)であった。両群共に7病日以降に治療を開始した症例はいなかった。また、治療開始時の白血球数はA:B=15000±6100:14800±5800/μl (p=0.86)、好中球の割合はA:B=79.0±11.8:78.7±10.5% (p=0.89)と両群間で有意差はなかった。初期IVIGによる治療後に何らかの追加治療を必要とした症例は、A:B=16/33 (48.5%) : 25/57 (43.9%) (p=0.83)と両群間で有意差は認めなかった。IVIG以外のIFXや血漿交換等の治療を必要とした症例はA:B=2/33 (6.1%) : 11/57 (19.3%) (p=0.12)であり有意差は認めなかったが、早期に治療を行ったA群で少ない傾向を認めた。また両群とも冠動脈病変を認めた症例はいなかった。
(結語)治療開始病日が3病日以前であっても、早期治療により、追加治療を減らすことができる可能性があると考えられた。