[II-P59-03] 川崎病難治例における追加治療効果を反映する炎症性サイトカインの検討
Keywords:川崎病難治例, IVIG不応, サイトカイン
【背景】近年、川崎病免疫グロブリン(IVIG)不応例に対する治療法の選択肢が増えているが、これら重症例におけるサイトカイン等の炎症に関連する因子への作用についての報告は少ない。【目的】川崎病重症例において、病勢を反映するマーカーを同定すること。【対象と方法】対象は2017年3月から2018年9月に当院で経験した川崎病IVIG不応および初回インフリキシマブ(IFX)不応例5例(男2、女3、0歳11か月から3歳9か月、中央値2歳2か月)。患者の体温の推移、治療法、経過中の白血球数、好中球(%)、血小板数、血清中のCRP、Alb、AST、ALT、LDH、Na、T.Bil値を診療録から収集した。血清サイトカインについてはIL-1β、IL-6、IL-8、TNF、IFN-γ、G-CSF、IP-10、MIG、MCP-1を測定した。臨床的な病勢の指標を体温とし、5症例の24時間中の最高体温と各検査値の相関を調べた。【結果】5例中3例は2回目IFX投与を行い、1例は血漿交換療法を行った。その他1例はシクロスポリンを投与し、血漿交換療法を行った。24時間中の最高体温と相関を認めたサイトカインは、G-CSF 2例、IP-10 2例、IL-6 2例であった(いずれも相関係数0.7以上、有意水準5%未満)。血小板数は3例で負の相関を認めた。5症例いずれも冠動脈病変の合併はなかった。【結語】炎症性サイトカインのうちG-CSF、IP-10、IL-6が熱型との相関が示唆された。川崎病重症例の炎症において重要な役割を果たしている可能性がある。