[II-P61-01] Borderline LVの治療戦略と予後
Keywords:borderline LV, Shone, 二心室修復
<背景>左心系の中等度低形成(borderline LV)に対して、二心室修復(BVR)可能かどうかがしばしば検討される。<目的・方法>2007年9月から2018年12月に当院で胎児期から左室の低形成を指摘され、出生後borderline LVとされたが、その後BVRを行った13例について疾患、治療介入、予後について後方視的に検討した。Borderline LVは出生時僧帽弁(M弁)弁輪径がZ valueで-1.5以下かつ、左心系に狭窄を2つ以上認めるものとし、Critical ASは除外した。<結果>全例胎児診断例で、平均観察期間は45ヶ月。男児が4例。週数は中央値39 (35-40)週、体重は中央値2.6kg(1.8-3.1)kg、基礎疾患は3例(Williams症候群 2例、21trisomy 1例)だった。僧帽弁輪径Z=-2.6 (-3.5~ -1.5)、大動脈弁輪径はZ=-3.1 (-6.1~ -0.16)、LVDdはZ=-4.0 (-6.7~ 0.7)であった。心疾患はShone’s complexが4例、MSが9例(parachute MV 4例)、ASが5例(弁下1例、弁性3例、弁上)、大動脈弓低形成10例、CoA 11例、IAA 1例、VSD 4例、PLSVC 7例、心筋症を1例で認めた。治療介入は全例で計35回行われ、初回介入はArch repairが8例、PABが2例、ASD閉鎖が2例、MVPが1例の順で多かった。2回目介入はASD閉鎖、Arch repairの順であった。1例が心筋症で死亡。MS残存例は2例。軽度肺高血圧(PH)の症例が3例。2例が大動脈弁介入の待機中(大動脈弁形成1例、Ross1例)であった。術後の平均肺動脈圧(PAp)と出生時のA弁輪径(Zscore)に負の相関を認めた(p=0.02)。<考察>borderline LVでは、MSとPHの程度が長期予後を左右するという報告が散見される。本検討では、PHはM弁(Z=-2.7)、A弁(Z=-3.5)共に小さい症例でみられ、A弁径と術後PApに相関を認めた。本検討ではA弁に対する介入した症例はなく、出生時のA弁径の影響が術後にも残存した可能性がある。<結語> 出生時borderline LV(MV Z≦ -1.5)ではBVR可能な場合があるが、A弁径が小さい症例では遠隔期のPHに注意する必要がある。