[II-P62-01] 地域中核病院と小児心臓移植認定施設の連携による小児重症心不全に対する治療経験
キーワード:小児重症心不全, 小児心不全ネットワーク, 補助人工心臓
【背景】急性増悪を認めた小児重症心不全では,急性期救命治療のみならず救命後のbridge治療が予後に直結する.初期治療の多くは市中病院或いは地域中核病院で行われるが,心機能回復が乏しい場合,小児心臓移植認定施設での心移植を見据えた高度な治療が必要であり,病院間の速やかな連携が重要となる.今回、当院で初期治療を行い,早期に移植施設へのコンサルトを行うことで救命可能であった5例の小児重症心不全患者を経験したので報告する.【対象】2012年以降,急性増悪を認め当院に救急搬送された小児重症心不全患者5例.年齢は2ヵ月-5歳.体重は4.5-19kg.診断は劇症型心筋炎1例,拡張型心筋症3例,拘束型心筋症1例であった.【結果】全例で循環不全に伴うショック状態にて当院に救急搬送された.受診時のLVEFは中央値20%(10-50%)であった.強心剤、人工呼吸管理を行い,2例ではperipheral VA-ECMOを必要とした.移植認定施設への情報提供は入院後中央値2.5日(1-4日)に行った.全例で家族に対して心臓移植及び補助人工心臓に関する情報提供を当院及び移植認定施設の医師から行い,他臓器不全をきたす前に転院した.転院までの日数は中央値28日(3-53日)であったが,ECMO装着例では肺うっ血のため早期の(入院後3及び7日)転院を必要とした.転院後,2日以内に4例(ECMO装着2症例を含)で左室脱血型のLVADが装着された(3例でtemporary LVAD,1例でExcor(移植登録済)).temporary LVADの1例で装着後7日にLVADから離脱が可能であった(劇症型心筋炎).2例(拡張型心筋症)で移植登録後にExcorに変更した.Excorを装着した3例のうち,拘束型心筋症の1例を除く2例でLVADの離脱が可能であった(植込み後9、13ヶ月).LVADが必要でなかった1例はβblockerの内服にて外来通院中である.【まとめ】小児重症心不全症例に対しては,出来るだけ早期に移植施設と連携することでVADを含めた治療選択肢の幅が広がり,治療成績の向上が期待される.