[II-P62-03] 心不全を伴う先天性心疾患患者に対するβ遮断薬投与による心機能変化
Keywords:βブロッカー, 心不全, 先天性心疾患
【背景】成人領域における慢性心不全に対するβ遮断薬の有用性が認められているが、小児領域でも有用性の報告が散見される。【目的】当院で心機能低下を伴う先天性心疾患児に対するβ遮断薬の使用実態を評価し、薬剤効果を評価する。【対象】当院で2012/1/1-2018/12/31の間に先天性心疾患児の心不全治療目的でβ遮断薬を導入し同一治療ステージ内で心機能評価を得られた児。【方法】それぞれの主心室機能、BNP、HANPの変化率(導入後/導入前)などを後方視的に検討した。【結果】対象患者:13人(男児:6人, 女児:7人)。導入開始平均年齢:2歳8ヶ月±1歳6ヶ月。導入期間:17±11ヶ月。疾患内訳:二心室循環2例、単心室循環11例。導入理由:姑息術後心機能低下2例、Glenn術前心機能低下1例、Fontan術前心機能低下9例、2心室修復術後心機能低下1例。導入後評価時β遮断薬投与量:0.3±0.2mg/kg。併用薬剤(重複あり):ACE-I/ARB:9例、肺高血圧治療薬:10例。利尿剤:13例。導入前のMIBG心筋交感神経活性シンチグラフィでのwash out ratio:42.6±15.4。主心室EF変化率:1.1 (95%CI:1.0-1.1)と11例に改善を認めた。 BNP変化率:1.1(95%CI:0.8-1.3)と改善みとめなかった。HANP変化率:0.8(95%CI:0.6-1.0)と改善認めた。臨床転帰:次ステージ到達例10例、次ステージ非到達例2例であった。【結論】先天性心疾患児の心不全治療にβ遮断薬が有効である可能性が高い。母集団数や併用薬剤、症例間の多様性を認めるため、今後更なる検討が必要である。