第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

心不全・心移植

ポスターセッション62(II-P62)
心不全・心移植

Fri. Jun 28, 2019 5:30 PM - 6:30 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:馬場 礼三(中央大学 生命健康科学部)

[II-P62-05] 心臓移植後にバルガンシクロビル予防投与下で移植後リンパ増殖性疾患を発症した2歳男児

石橋 誠二郎, 中野 克俊, 浦田 晋, 中川 良, 朝海 廣子, 平田 陽一郎, 犬塚 亮 (東京大学医学部附属病院 小児科)

Keywords:PTLD, 心移植, EBウイルス

【緒言】本邦での小児心臓移植の件数は、臓器移植法の改正に伴い年々増加している。移植後の遠隔期合併症の早期発見・予防は予後の改善に重要であるが、小児心臓移植後の定まった管理指針は存在しない。今回我々は、心臓移植後3カ月目にバルガンシクロビル(VGCV)の予防投与下で移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)を発症した症例を経験した。
【症例】2歳男児。拡張型心筋症に対して心臓移植を受け、タクロリムスおよびミコフェノール酸モフェチル投与に加え、移植時donor EBV(+)/recipient EBV(-)だったためVGCVを予防投与中であった。移植後3カ月目、発熱・鼻汁・咳嗽・下痢を主訴に当院受診し、第4病日に入院。入院後は一時的に症状軽快し、第18病日に退院したが、すぐに症状が再燃したため第25病日に再入院。再入院時の血液検査で肝酵素上昇、異型リンパ球の出現、血清EBV-DNAの高値を認め、PTLDを疑った。感染細胞同定解析にてEBVのB細胞(CD20+)への感染が判明し、全身FDG-PETにて右頸部リンパ節への集積を認め、第38病日に施行した右頸部リンパ節生検の病理結果で単形性PTLD・びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断した。第40病日よりリツキシマブを投与開始したところ、症状はすみやかに改善し、第48病日より解熱が得られ、第66病日よりR-THP-COPによる化学療法を開始した。
【考察】本症例ではVGCVの予防内服を行っていたにも関わらず、PTLDの発症を抑制できなかった。文献的にも抗ウイルス薬によるPTLDの予防効果は乏しいとの報告もある。移植時donor EBV(+)/recipient EBV(-)の心臓移植後患者はPTLDのリスクが高く、抗ウイルス薬の予防投与下であってもPTLDを発症する可能性を念頭に置き、早期発見・治療に努めるべきである。