[II-P63-01] 当院におけるEXCOR装着5症例の経験
Keywords:体外式補助人工心臓, EXCOR, 小児重症心不全
【背景】我々は、2004年から小児症例に対しても体外式補助人工心臓を装着してきた。しかしEXCORが本邦に導入されて以後、重症心不全における治療はEXCORの装着が中心となっている。【目的】当院でEXCOR装着を行った重症心不全患児5例を対象とし、臨床成績の比較検討を行い、小児補助人工心臓治療の臨床成績を明らかにすること。【結果】EXCOR装着時の平均年齢は3.8±3.6歳(2か月~8歳)、平均体重は10.2±4.7kg(5.5~16.2kg)であった。原疾患は、DCM 3例、LVNC 1例、先天性心疾患術後重症左心不全 1例であった。術前の状態として、挿管症例は2例、DOB投与量は平均3.1±3.3γ、PDE3阻害薬は全症例で投与されていた。LVEF の平均値は24.4±19.9%で、心原性ショックによるECMO装着症例を1例認めた。併施手術は僧帽弁形成術が1例、三尖弁形成術が2例であった。術後の挿管期間は314±401時間(17~881時間)であった。術前にECMO装着や、挿管症例、装着前LVEFのより低い症例において、術後挿管期間が長い傾向が見られた。移植に到達したのは2例で、渡航移植(補助期間594日)と国内移植(627日)が1例ずつであった。補助86日目にEXCORから離脱できた症例を1例に認め、前医へ転院後自宅退院となっている。現在国内移植待機中が2症例(EXCOR補助期間366日、63日)となっている。合併症は、頭部外傷による脳出血を1例に認め、緊急開頭止血術と術後24時間の抗凝固中止により止血が得られた。さらにこの症例では、装着前より認められていたARの進行により大動脈弁閉鎖術が施行され、術後神経学的異常所見を認めることなく移植待機となっている。【考察】当院では5例にEXCORの装着を行ってきた。死亡症例はなく離脱例、移植待機2例を含め経過は良好である。しかし、術前状態の悪い症例では、装着術後の挿管期間も長くなり術後管理に難渋することが多い。術前状態が悪化する前でのEXCOR装着がより良い成績につながる可能性があると考えている。