第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

補助人工心臓

ポスターセッション63(II-P63)
補助人工心臓

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:田中 高志(宮城県立こども病院 循環器科)

[II-P63-03] BiVAD EXCOR管理におけるRVADのsystole pressureの設定

戸田 紘一1, 坂口 平馬2, 井上 聡2, 福山 緑2, 小森 元貴3, 帆足 孝也3, 市川 肇3, 黒嵜 健一2, 白石 公2, 福嶌 教偉1 (1.国立循環器病研究センター 移植医療部, 2.国立循環器病研究センター 小児循環器科, 3.国立循環器病研究センター 小児心臓外科)

キーワード:BiVAD EXCOR, RVAD systole pressure, PH

【緒言】我々はBerlin Heart EXCOR(以下、EXCOR)によるBiVAD装着症例を経験し、特にRVADの設定に苦慮したため報告する。【症例】胎児診断例の拡張型心筋症で、胎児水腫の進行があり在胎32週に帝王切開で出生。約5か月間に渡る強心薬等の治療の末、6か月時にEXCORを装着した。術中に心室中隔血腫を生じ、両心室ともに収縮・拡張が制限される状態となりBiVAD装着が余儀なくされた。その後血腫除去を行ったがRVADの離脱は困難であった。全身状態改善し体重も順調に増え、それに付随してVAD rateを増やし循環を維持した。しかしBiVAD装着後8か月頃より網状チアノーゼ、食欲不振を認めた。設定はLVAD rate95、pressure180/-40。RVAD rate90、pressure140/-40。経胸壁エコー(TTE)では房室弁逆流は層流で両半月弁の開放はなくBiVAD依存の状態が示唆された。また、PR-PGのpeakは58 mmHgとPHを疑う所見であった。カテーテル検査ではRVGでPAへの順行性血流はなく、CVP25 mmHg、mPAP88/44(60) mmHg、PVR12.6 units×m2という結果であり、volume reduction及びRVADのsystole pressureを下げていく方針とした。【結果】利尿剤及びRVADのsystole pressureを約1か月半かけて徐々に90 mmHgまで下げ、体重は6.5kg(-1.0kg)に減りTTEでのPRPGのpeakは16 mmHgまで低下した。カテーテル検査ではCVP15 mmHg、mPAP32/13(23) mmHg、PVR2.4 units×m2と改善を認めた。【考察】両心とも完全にVADに依存している症例では、自己心の調整がなくVAD設定がdirectに循環に反映する。TTEでの評価には限界がありカテーテル検査での評価が重要であった。Full fill・full emptyが基本のEXCORだが、RVADも常時full emptyを目指すとおのずとRVADのsystole pressureの設定が高くなり、長期に及ぶとPHを惹起してしまう恐れがある。【結語】RVADのsystole pressureが高いと肺動脈に余剰な圧をかけ、それが長期に及ぶとPHを惹起してしまう可能性がある。