第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

補助人工心臓

ポスターセッション63(II-P63)
補助人工心臓

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:田中 高志(宮城県立こども病院 循環器科)

[II-P63-04] EXCOR装着下の移植待機中に送血管刺入部に生じた仮性瘤の破裂により死亡した拡張型心筋症の1例

土井 悠司1, 真田 和哉1, 芳本 潤1, 田中 靖彦1, 田邊 雄大2, 濱本 奈央2, 元野 憲作2, 大崎 真樹2, 石道 基典3, 猪飼 秋夫3, 坂本 喜三郎3 (1.静岡県立こども病院 循環器科, 2.静岡県立こども病院 循環器集中治療科, 3.静岡県立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:LVAD, EXCOR, 心移植

【背景】EXCORの認可に伴い以前より安全な心臓移植待機が可能になっているが、国内の移植待機期間は長く、今まで海外からは報告されていない合併症が国内の待機症例で生じることは十分に予想される。当院にてEXCORを装着し、移植待機中に仮性瘤破裂による大量出血で死亡した症例を経験したので報告する。【症例】当院入院時7歳の女児。学校検診で心電図異常を指摘されるも二次検診を受診せず、心不全で当院搬送となり、各種精査の結果拡張型心筋症と診断。四肢末端の角化障害を主体とした皮膚障害あり、精査を行うも確定診断に至らず対照的に観察されていた経緯あり、後にCAST遺伝子のhomo異常を検出。当院入院後心不全進行ありECMO導入。移植判定委員会にて移植適応と判断され、また皮膚障害も体幹は障害目立たなかったため管理は可能と判断されたこともありEXCOR装着となる。EXCOR装着後はもともとの皮膚障害もあり送血管刺入部には不良肉芽が常在していた。EXCOR装着後1年10か月から菌薬を中断すると発熱を繰り返すようになり、装着2年で血液培養から初めてMRSAを検出。同時期から送血管刺入部からの大量出血のエピソードが出現。最初の2回は圧迫で止血を得られたが、3回目の出血を来した際に手術室で出血源検索および止血を測ることとした。剥離中に大量出血あり、送血管刺入部の仮性瘤破裂による出血と判明したが、止血が得られずそのまま死亡した。病理解剖で送血管刺入部に生じていた瘤が破裂していたことが確認できた。【考察】CAST遺伝子による皮膚障害で送脱血間刺入部の管理に難渋、長期管理のうちにMRSA菌血症を来すに至った。送血管刺入部からの感染、炎症の波及が送血管逢着部に仮性瘤形成に寄与し、今回の出血に至ったと思われる。【結語】EXCOR装中に送血管刺入部からの出血を認めた場合には、一時的な圧迫止血が得られたとしても大動脈仮性瘤破裂のような致命的となる出血源も念頭に置く必要がある。