[II-P64-02] 小児の駆出率の保たれた心不全(HFpEF)の長期予後
Keywords:心不全, HFpEF, 小児
【背景】駆出率の保たれた心不全(HFpEF)は、成人で心不全の約半数を占める重要な病態である。我々は、小児にもHFpEFが先天性心疾患の術後を中心に、独特の特徴を持って存在することを報告してきた。今回、長期予後として初回報告時と約10年後の変化を検討した。観察時期(以下中央値)は0.8 vs 11歳。
【方法】既報告で生存した23症例中の19例のうち、本学でフォローを行った18例を対象とした。その後の死亡、心不全NYHA、心不全に対する内服、身長(年齢に対するSD)、神経液性因子を抽出し、既報告時と比較検討した。
【結果】さらなる死亡はみられず、遠隔期はほぼNYHAI-IIで、β遮断薬・ACE阻害薬またはARB内服がそれぞれ12人(67%)であった。発育が極度に不良な1例(体重-4.9SD、身長-7.0SD)を除いても、初回認めたHFpEFの体格の小ささは全体として残存した(身長:-1.3 vs -1.3SD)が、ほぼ平均に達する症例も存在した。アルドステロン値は低下(570 vs 127 pg/mL)したが、HANP(58 vs 50 pg/mL), BNP(50 vs 24 pg/mL)のナトリウム利尿ペプチドの軽度上昇を維持した例が多かった。
【結論】亜急性期を生存したHFpEFの10年後の生命予後は良好であった。発達とともに心不全がほぼ軽快する症例が存在する一方、循環・体格・液性因子のsubnormal例が多く、フォロー継続を要した。対象全体はヘテロな集団であるため、今後はより疾患特性に分けた長期の検討が必要である。
【方法】既報告で生存した23症例中の19例のうち、本学でフォローを行った18例を対象とした。その後の死亡、心不全NYHA、心不全に対する内服、身長(年齢に対するSD)、神経液性因子を抽出し、既報告時と比較検討した。
【結果】さらなる死亡はみられず、遠隔期はほぼNYHAI-IIで、β遮断薬・ACE阻害薬またはARB内服がそれぞれ12人(67%)であった。発育が極度に不良な1例(体重-4.9SD、身長-7.0SD)を除いても、初回認めたHFpEFの体格の小ささは全体として残存した(身長:-1.3 vs -1.3SD)が、ほぼ平均に達する症例も存在した。アルドステロン値は低下(570 vs 127 pg/mL)したが、HANP(58 vs 50 pg/mL), BNP(50 vs 24 pg/mL)のナトリウム利尿ペプチドの軽度上昇を維持した例が多かった。
【結論】亜急性期を生存したHFpEFの10年後の生命予後は良好であった。発達とともに心不全がほぼ軽快する症例が存在する一方、循環・体格・液性因子のsubnormal例が多く、フォロー継続を要した。対象全体はヘテロな集団であるため、今後はより疾患特性に分けた長期の検討が必要である。