[II-P65-01] Transverse archの低形成を伴うCoA complexに対する鎖骨下動脈フラップ法の成績
Keywords:外科治療, 大動脈縮窄, 鎖骨下動脈フラップ手術
<方法>2009.1月以降の大動脈縮窄複合症例18例を対象とした。SCF術前後と二期手術前に上行大動脈(AAo)からisthmusまでの各部位の径を計測。各測定値はAAo径で除した値を算出し、手術前後および二期手術前で比較検討した。Transvers arch低形成の指標としてはDistal arch径からDA/AAo比を求め、50%未満を低形成とした。<結果>男女比は11:7。VSDが13例、TGA(2)が2例、単心室が1例、他2例であった。手術時の体重は3078±480g. 術前Ductal shockは2例、術前プロスタグランディン製剤使用は12例。緊急~準緊急手術が12例であった。術前AAo径の平均は7.2±1.1(5.6~9.0)mm、Distal Arch径は3.9±0.8mm(2.2~5.0)mm, SCA径は3.5±0.8(2.9~4.9)mm, isthmus径は 2.2±0.6(1.6~3.2)mmであった。Isthmusの形成は6例に施行し、shelf切除は6例に施行した。16例に肺動脈絞扼を併施した。合併症は乳び胸を2例と創部背側の治癒遅延を3例認めた。遠隔期の再狭窄を2例に認めカテーテル治療が行われた。DA/AAo比は術前後で0.54±0.09から0.59±0.14 (P=0.01)に拡大し、Isthmus/AAo比は0.28±0.31から0.64±0.13(P<0.01)に改善した。SCF術前のDA/AAoが50%未満の低形成群(L群:5例)、50%以上のN群(13例)で、それぞれ術前と二期手術前で比較を行った。L群は43.5±4.3%から54.2±9.0%(P=0.03), N群は58.7±7.%から66.5±13.8%(P=0.02)へと有意な改善を認めた。変化率はL群が125.5±22.8%, N群が114.7±26.7%とL群で改善が大きい印象であったが、両群間に有意差はなかった。<まとめ>Transverse archやSCAの低形成例や、isthmusが2mm以下の症例も含まれたが、CoA complexに対するSCF法の成績は良好であった。Distal archが低形成なCoA複合症例でもSCFによる大動脈形成と肺動脈絞扼を行うことによりdistal archの成長がえられた。