第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション65(II-P65)
外科治療 5

Fri. Jun 28, 2019 5:30 PM - 6:30 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:帯刀 英樹(九州大学 心臓血管外科)

[II-P65-02] 大動脈弓離断症に対する治療成績

藤本 智子, 中野 俊秀, 小田 晋一郎, 城尾 邦彦, 合田 真海, 岡本 卓也, 松田 健作, 角 秀秋 (福岡市立こども病院)

Keywords:IAA, re-CoA, LVOTS

【目的】大動脈弓離断症(IAA)の手術成績は向上しているが,術後の大動脈弓狭窄や左室流出路狭窄などの発生が散見される。当院での大動脈弓離断症の治療成績について検討した。【対象】1981年から2018年12月までの間に当院で施行した2心室修復可能な心奇形を伴うIAA 163例を対象とした。追跡期間は平均11.4+8.8年(最長32.8年)であった。【結果】大動脈弓離断の型はA型91例,B型71例,C型1例であった。Simple group(VSD, AP window合併) 111例,Complex group(DORV, TGA, Truncus合併) 52例であった。一期的根治は122人に施行した。大動脈弓再建手術時の体重は一期的根治術群で2.9±0.7kg,段階的治療群では5.17±2.1kgであった。術後早期死亡9人,遠隔期死亡9人であった。1年,5年,10年累積生存率はsimple group 96.9%,82.4%,79.9%,complex group 75.0%,65.0%,65.0%であり,complex groupで有意に低かった(p=0.02)。術後大動脈狭窄に対する再介入回避率はsimple/complex群とで有意差は認めなかったが,手術時期で比較すると,2000年以前に手術した群で(1年,5年,10年) 88.6%,85.1%,75.4%,2000年以降に手術した群では(1-10年) 88.7%であり,有意に2000年以前に手術した群で低かった(p=0.05)。一方で,術後左室流出路(LVOT)狭窄に対する再介入回避率は手術時期による差は認めなかった。死亡のリスクファクターにはcomplex group,手術時期(2000年以前の手術)が同定され,また術後大動脈弓への再介入のリスクファクターはArch再建法(graft使用)が同定された。最終フォローアップ時のエコーでは,LVOTの流速は1.3±0.8m/s,mild以下の大動脈弁逆流が144人(87.8%)であった。【結語】IAAに対する遠隔期の治療成績は良好であった。ArchやLVOTの狭窄は成長とともに目立ってくることがあり,術後も注意深い観察が必要である。