[II-P65-03] 直接吻合が困難な大動脈弓離断症に対する大動脈弓再建術式
キーワード:大動脈弓離断, 大動脈再建, 自己組織
【背景】大動脈弓離断症(IAA)に対する術式は直接吻合が一般的だが、上・下行大動脈間の距離が大きいものや周囲臓器との位置関係により困難な場合がある。術式に工夫を要した3例を報告する。【症例1】APW/IAA(B)の極低出生体重の女児。GA26w6d, BW 644gで出生。PGE1投与とN2吸入により体重増加が得られ、生後6か月時2130gで修復術を施行。APWは大動脈・肺動脈を分離し肺動脈側は直接閉鎖。距離が大きく直接吻合が困難のため大弯を左鎖骨下動脈フラップ(reverse subclavian flap)、小彎をGA処理自己心膜パッチで大動脈再建を行った。術後上下肢圧較差認めず、1ヶ月で搬送元へ転院。【症例2】IAA(B)/VSDの女児。GA39w3d, BW 3060gで出生。12生日にBPAB施行。ductal stent後に腹腔内出血と小腸穿孔を来し小腸切除・人工肛門増設術を行った。敗血症・肝不全・腎不全の治療に難渋したが回復し1歳時に修復術を施行。VSDパッチ閉鎖及び肺動脈絞扼解除、ステントは完全に切除。距離が大きく直接吻合は困難のため、拡大した肺動脈壁を用いてPA autograft tubeを作成し上行‐下行大動脈間を再建。術後上下肢圧較差認めず、1ヶ月で退院。【症例3】IAA(B), right-sided descending aorta, left archの女児。GA 41d2d, BW 3428gで出生。9生日にductal shockで搬送されPGE1投与開始、14生日に修復術を施行。右胸腔を走行する下行大動脈を剥離したが直接吻合は困難のため、上行大動脈をSTJ上で離断し下行大動脈と端々吻合(swing-back)し、neo-arch下面をコの字型にフラップを作成しtrap-door法で上行大動脈近位断端に吻合し後壁を作成、上行大動脈前壁は肺動脈壁を用いてパッチ補填した。術後上下肢圧較差は認めず、反回神経麻痺による哺乳不良を認めたが軽快し術後2か月で退院。【結語】IAAに対する直接吻合が困難な症例でも自己組織のみでの大動脈再建が可能であった。良好な経過が得られたが経過観察が必要である。