[II-P65-06] 稀な右鎖骨下動脈走行異常を呈した大動脈離断複合の1例
Keywords:鎖骨下動脈走行異常, 大動脈離断症, 大動脈二尖弁
【背景】arch anomalyには鎖骨下動脈(SCA)走行異常を伴うことが多い。今回我々は稀なSCA走行異常を呈した大動脈離断症(IAA)を経験したため報告する。【症例】胎児診断されており、36wk2d、2272gにて出生。echoでの診断はIAA(B型)、心室中隔欠損(VSD)(doubly committed+muscular×2個)、PFO、PDA、大動脈二尖弁、左大動脈弓、aberrant origin of right SCA(AORSCA)であった(後にFISH法で22q11.2欠失症候群も診断された)。詳細な血管形態確認目的に造影CT検査を施行すると、right SCAは下行Aoから起始していたが(AORSCA)、頸部において右総頸動脈(RCCA)からも分岐する(cervical origin of right SCA)形態であった。右上肢血流は、いわゆる"dual supply"となっており、手術時に下行から起始するright SCAは結紮離断しても、順行性の血流が保たれる稀な形態であった。【手術】Day 9(2.2kg)に両側PA banding(リリアン糸で左右とも10.5mm径)施行し、体重増加を待って、1ヶ月時(2.9kg)に根治術を行った。doubly commited VSDでもあり、main PA径が非常に太く、arch離断部が長く、大動脈が直接届かない場合は左SCAのreverse subclavian flap+自己心膜patch拡大でarchを延長することも考慮して手術に臨んだ。手術では、RCCAに3.5mm ePTFE人工血管を吻合して送血ルートとし、人工心肺を確立した。左右のSCAを結紮離断し、十分剥離すると余裕を持って届いたため、arch再建は直接吻合が可能であった。VSDは型通りpatch閉鎖、PFOは直接閉鎖し、心尖部のmuscular VSDは放置した。【経過】edemaが強く、開胸でICUに帰室し、POD.6に二期的閉胸。退院前echoでは、arch再建部での加速無し、VSD leak微量、左右PAでの加速無し。術後造影CTでは、吻合部狭窄なし。反回神経や横隔神経麻痺なし。【結語】AORSCAとcervical origin of right SCAを合併したことにより、右上肢血流が"dual supply"であった稀なIAA complexを経験した。診断には造影CTが極めて有効であった。